著者は「精神科医」
自殺を調べていくうちに経済問題を調べていかざるを得なくなった、という趣旨のことが
「はじめに」に書かれているが、その考察は極めて専門的で正当で丹念に数値を拾って
論証を重ねている(めんどくさかったろうな…(^−^;))。
ポイントは「賃金の低下」と「資産価格の低下」とその原因である「マネーサプライ」。
経済学者は日銀に異を唱えることは構造的に難しい。
政府筋からの締め付けもあるだろうが、貨幣価値の下落は信用創造にマイナスである、という
きわめてまっとうな論拠が経済学者の頭脳を縛っているのだ。
この本はその呪縛を論証によって取り払う。
もともと、紙幣は金本位制でなければならない、という呪縛が意味がないものであったのであれば
インフレは悪いものだ、という呪縛も意味がない。
そしてそれは経済学者には発言できない経済学である。
読み始めたらやめられなくて一気に読んでしまいましたよ。
自殺問題とは違う意味で根本的な学問意識を揺さぶられる1冊。
正当的経済学者の反論を期待したいです。