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働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史
 
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働きすぎに斃れて――過労死・過労自殺の語る労働史 [単行本]

熊沢 誠
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないか――。ふつうの労働者が「しがらみ」に絡めとられながら限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造が生み出した50件以上もの過労死・過労自殺の事例を凝視し、日本の労働史を描き出す。変革のための鎮魂の物語。

内容(「BOOK」データベースより)

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないか―。ふつうの労働者が「しがらみ」に絡めとられながら限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造が生み出した膨大な数の過労死・過労自殺の事例を凝視し、日本の労働史を描き出す。現状を変えていくための、鎮魂の物語。

登録情報

  • 単行本: 400ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/2/19)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4000244566
  • ISBN-13: 978-4000244565
  • 発売日: 2010/2/19
  • 商品の寸法: 19 x 14 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 本書を手に取ると、ズシリと重く、読むとそれは、書かれている事態の重さと著者の想い(怒り、鎮魂、共感、無念、遺された者への応援歌)が積もった重さであった。重いのだが、一気に読まされる。
証券マン・教師・トラック運転手・ファミレス店長・自動車工場・設計技師・銀行員・・・、そこには「名ばかり店長」「派遣や請負の非正規社員から管理職社員まで」の葬列があり、「いじめ」とパワハラがあり、「弱い者が夕暮れ さらに弱い者を叩く」という風景があり、それを奨励して「統治」する日本の労働現場の「構造的ひずみ」が在る。成果主義・ノルマ・強制された「自発性」・提案と反省文の強要・連帯責任・度外れたサービス残業・全面屈服を前提に成る人事考課・派遣請負化・・・つまりは積年の労使共謀による合作たる「共助風土の解体」が在る。 
 葬列に立ち会う者のごとき著者が、込み上げる感情に筆を奪われまいと抑制・苦闘した跡が、行間のそこここに溢れているのだが、その感受性に裏打ちされた筆致は、さながら作家が書いた「物語」の様相を呈してもいる。が、情緒の物語が、涙を流したところで終わるのなら、これはそこから始まるのだ、直接性の世界が・・・。
読者には、否応無く、本書が言う通りの「強制された自発性」に追われた昨日・今日の職場があり、「名ばかりの管理職」の激務に満ちた明日の仕事がある。人生の大きな部分を占有している労働の「場」、出口のないその「場」を変えてゆく方策を掴まなければ、「燃え尽きるまで働き」「斃れる」のは「ひと事」ではなく、明日の自身かもしれないという追い詰められた者の臨場感がある。
 著者が言う、『形成されるべき労働者像とはおそらく、価値基準としては、自分にとってかけがえのないなにかに執着する「個人主義」を護持しながら、生活を守る方途としては、競争の中の個人的成果よりは社会保障の充実や労働運動の強化を重視する「集団主義」による――そうした生きざまの人間像であろう。』との言葉から、この書が「鎮魂の書」「告発の書」であればこその「応援歌」に聞こえ、こう思った。
労働→生産→誘導された購買消費生活→社会的位置→横並び願い→労働→生産→・・・この強固な環状エンドレスの輪が現に在る限り、加えて企業がそして多くの場合労働組合までもが、その輪を打ち固める側に在る限り、ぼくらは、環状エンドレスの輪に沿った場に居続けるのではなく、ぼくら自身が、その輪の身近かな切断可能な箇所を「エイヤッ」と「断ち切る」のだと。輪は必ず綻び始めるのだと。ぼくらのそうした挑みこそが、勤労と生活を覆う自身の価値観総体の変更=「集団主義」への出発点だと。   
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17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 この本は、労使関係論の第一人者として知られる熊沢誠氏の渾身の最新作であり、やはり「さすが」と思わせる内容となっている。50人以上の過労死・過労自殺被災者の働き方・働かされ方と遺族のたたかいを、情理をつくして記述していることが本書の最大の特徴である。その裏にあるのは「産業社会の構造的なひずみはかならず個人の受難として現れる」(p15)という熊沢氏の基本スタンスであり、「個人の受難」の詳細な記述から導かれる「構造的なひずみ」の分析により、日本の労働現場に一般的な問題点が浮かび上がる。過労死・過労自殺は決して他人事ではない。読者の多くが、被災者達の働かされ方の記述の中に「これは私のことだ」と感じるものを発見するだろう。
 ちょうど『女工哀史』という85年も前に書かれた本が現在でも重要な資料として参照されるように、本書は20世紀後期から21世紀初頭の日本の労働現場のあり方を記述・分析した最良の書として、100年後に参照されるものではないだろうか。その時「昔はひどかったんだな」と思い出される事を期待したいが、そうなるためには我々の目の前にある現実を変えていかねばならない。そのように訴えかけてくる本である。
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 「一隅から照らす」といった言葉がある。「過労死・過労自殺」を一隅と見ていいかどうかは議論の分かれるところだが、その「一隅」から現代の労働を照射した労作が本書ではある。
 トラック労働者、工場・建設労働者、ホワイトカラー・OL、教師、管理職・現場リーダーと、種々の労働者の事例をまとめながら挙げて現代労働の全体をカバーする手法を採っている。基礎資料をもとに事例・判例研究を重ねていて時日の経過に耐える本に仕上がっていると言えよう。
 問題の一つは、本書を誰がどこでどう読むかであろう。「共同学習」の輪を広げ、つなぐのがいいのではないか。著者はその経験が豊富だから、すでに始まっているのかもしれない。本書の書評が一般紙誌に出ているかどうか評者には分からないけれども、取り上げにくいようだ。その制約を超えるには、労働組合、企業、学習機関などが本書の読書会を主宰し、本書の提言をよりどころにあるべき労働の姿、制度、実践を語り合い、その経過を横断的に結ぶことが望ましい。今後の出版社の仕事には、そうした活動が重要な要素になると愚考する。その先駆例となってほしい。
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