働きがいのある会社に関する書籍には、市場経済を無視した主義主張のみのもの、心理学的なアプローチのみで他の現実面での要素を無視したもの、高度経済成長期にのみ通用した年功序列を声高に主張するもの、などなど実際の経営にはとてもそのままでは活用できそうにないものが大半を占めています。
その中で本書は、働きがいのある会社の業績や経済的なメリットも調査結果により提示した上で、何が大事なことなのかを解説しています。
本書は、Great Place To Workの解説、及びそれを活用した調査結果の概要の解説であり、働きがいのある会社がどの様な施策を実施し、社員がどのように認識しているのか、について触れています。
一方で、働きがいのある会社が、どのような経営環境化で、何を重視して、どの様な施策を検討・実施し、以前と何が変わり、どのような効果を生み出したのか、といったプロセスについてはあまり触れられていません。
また、人間の普遍性を謳い、国に関係なく働きがいのある会社の要素は同じだとしていますが、これは少し誇張しすぎだと思います。文化を取り扱う学術領域では、マズローの欲求段階説ですら国別に段階が異なるといわれていますので。
従って、本書を活用する方法としては、著者も述べているように、あくまでのベンチマークの一つとして取扱い、プロセスについては個々の会社で検討するというのが適切だといえます。
とはいえ、このようにしっかりと調査した上での解説を試みている書籍があまりないですので、本書は手元に置いておくだけの価値はあると思います。
なお、本書のようなアプローチについては、他にギャラップ社、ヒューイット社が実施していますので、そちらも参考にされると良いでしょう。
本書で記されている取り組みはアメリカでは10年以上前からあるようです。この分野でも日本は遅れていることがよくわかります。ただ、どんな経営施策もアメリカの10年遅れで日本は取り入れている経緯がありますので、働きがいのある会社への取り組みも、これから盛んになることでしょう。