著者は本の中に書かれていますが「良いカウンセラーになりたいと思ってずいぶん努力した」方のようです。
傾聴トレーニングの実践として9つのケースにどう傾聴していけばよいかを示していますので、ゲーム感覚で試してみると面白いかもしれません。
ただ・・・。この本を読む限り、著者がロジャーズの来談者中心療法を「浅く」忠実に実行している感がして、とても怖くなりました。たとえば上述のトレーニングの紹介でも、起こっている原因を『幼少期に親から愛されなかったから悩んでいるに違いありません』などと言いきるあたりは鳥肌が立ちそうなぐらい怖さを感じました。
現実に著者のカウンセリングで悩みを克服していっている人がいるなら安心ですが、この本を読んで共感的理解だけで援助が出来ると信じられては同じカウンセラーとしては黙認していられない状況です。
いくら努力をしても、上手な人のマネをしても「いいカウンセラー」になれる訳ではないと思います。いいカウンセラーかどうかはクライアントが判断することではないでしょうか。
クライアント一人ひとりが置かれた立場や認知が異なることを説明しつつ、著書にある傾聴の仕方がベストな選択であるとは限らないと書かれてあればよかったのに、と思います。
援助者として初心者の方が共感的理解を学問として学ぶには良い本だと思います。