シリーズの8作目で,時間の流れとしては前巻『
猫物語(白)』の1日前から始まります.
予想やパッケージイラストからの印象を大きく裏切り,そして遙か斜め上をいく展開です.
二段ロケットとでも言うのでしょうか,あっさり目的を終えたかと思ったらそこからが本番.
SF風の味付けもこれまでとは違う印象でしたが,さらなる広がりにぐいぐい惹き付けられます.
その割にあっさりと思えた解決も,『それまで』と『これから』を考えれば少し複雑ですが,
運命への意識を変えた少年の選択,何より『相手』のことを慮ればあれでよかったのでしょう.
様々な運命,人との繋がりからあの男との『再会』を導いたのもよい演出だったように思います.
また,この物語に「何らかかわりがない」と語られながらも結構なページを割かれる少女や,
同じく本作への影響は無いのに,少し前に激しくやり合った相手とのやり取りが描かれるなど,
続刊への期待はもちろん,何やら大きなことが起こりそうで胸の奥がザワザワと落ち着きません.
ただ,
前巻で控えていた反動(?)か掛け合いやパロディを中心としたユーモア系は多めで,
会話は楽しいものの,自虐ネタの増えたメタコメントはどうしても好き嫌いが出てしまいます.
他にも,パッケージやサブタイトルにある少女が全くと言っていいほど登場しないのも物足らず,
確かに最後のやり取りは短いながらも心地がよく,爽やかな読後感を残すものだったと思いますが,
あとがきにて告白していた『願望』をここで実現する必要はわからず,彼女の物語としては不満です.
なお,パッケージイラストがデザインされた2011年のカードサイズカレンダーが同梱されており,
こちらには『八九寺真宵限定着ボイス』の配信URL(11年02月末までの限定)も記載されています。
(ちなみにこの配信URLは,QRコードですが講談社BOXの特設サイト内でも確認することができます)