【あらすじ】
インチキ催眠術師・実相寺則之の前に、奇妙な女性が現れた。彼女は突然笑い出した
かと思うと、
「ワレワレハ、友好的ナ、ウチュウジンデス」
と言い、自分はファティマ第七星雲のミナクス座のアンドリアだと自己紹介した。
占い師プロダクションに所属していた実相寺は、そのインパクトあるキャラクターを買
い、チャネラー(宇宙人と交信出来る人)として彼女を店で雇えないかと社長に掛け合
った。実相寺の目論見通り、彼女はたちまち有名人となり、店で一番繁盛している占い
師にまでなった。
しかし、彼女が宇宙人に変貌する様子をテレビで見た臨床心理士・嵯峨敏也は、危機感
を覚えた。彼女が、重篤な解離性同一障害……つまり、多重人格障害を引き起こしてい
るのではないか、と。その疑念を確かめるべく、嵯峨は幾度となく彼女に接触を試みる
が、その最中、彼女が二億円の横領事件の重要参考人である事実に直面する。
果たして、彼女は犯人なのか?
嵯峨は、専門の催眠療法を駆使して真相を解明しようとするが――
【感想】
魔法的なものとして扱われることの多い≪催眠術≫が、科学的な観点から描かれていて
とても興味深いです。
横領事件自体はわりとシンプルなのですが、結末に至るまでの様々な人間模様や、多重
人格障害の疑いのある入絵由香を中心に描かれるエピソードの一つ一つに無駄がなく、
一気に読み進めることが出来ました。
デビュー作(正確にはリメイク版)ということで、まだこなれていない印象はあります
が、結末のどんでん返しも含めて、とても面白い作品だと思いました。
勢いのある作品ですので、細切れに読むのではなく、一気に最後まで読んでもらいたい
作品です。