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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
格差社会を感じるルポ,
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レビュー対象商品: 偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43) (新書)
偽装請負の問題は、朝日が昨年8月に特集報道をする前にも、散発的に各メディアで報道され、一部では知られていた。しかし、遅ればせとはいえ、企業が偽装請負の改善を始めたのは、朝日の特集報道がきっかけだった。大きな意義のある報道だった。それまでの報道と朝日は何が違ったのか?本書にも指摘されているが、朝日の取材チームが、偽装請負をする大企業を名指しして注目を集めたこと、豊富な取材に基づくネタの量はもちろんだが、何よりも現代の「格差社会」の闇を象徴する問題と明確に認識して取材したためだ。本書で取り上げられている請負労働者は裁判などを起こし、小さいがずっと自分たちの声を発信してきており、取材する気さえあれば、どのメディアも取り上げられたはずだ。朝日の目の付け所がよかったからこそ、小さな声がつながり、世論は偽装請負を社会問題として認知した。朝日新聞は数年来、記事捏造、盗用と目を覆うような組織力、取材力の劣化が進んでいるように感じた。しかし、本書により、全体としての朝日の取材力のレベルは依然健在であることが分かった。そう感じるほど、売り文句に違わぬ「渾身のルポ」だった。 読んでいて感じるのは、企業の冷徹さだ。人を代替可能な材料くらいにしか思っていない。本書で取り上げられているのは、終身雇用、家族的経営など企業倫理の模範のようなキヤノン・松下だったが、本書に出る両社の現場の姿勢に、そうした温かみは微塵もない。さらに、キヤノン御手洗会長も偽装請負を反省するといいつつ経済財政諮問会議で偽装請負を実質合法化するように訴えるなど、自己利益に汲々とする。これが経団連会長企業かと情けなくなった。また、この仕事・会社が好きなのに、会社からはいつ切られるか分からない。将来の安定も希望もなく働き続けなければならないつらさを訴える請負労働者に格差社会を感じた。
19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
弱い立場が思い知らされる,
By シンジロウ (京都府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43) (新書)
10年前から請負(偽装請負)派遣で働いてきた者です。06年4月から契約が派遣に切り替わっていたので、もう偽装請負はやりにくい状況になったのでしょう。本書の前半では、いかに優秀でやる気に溢れる人でも非正規の立場では、正社員の壁は高いことが感じられます。後半では、正当な理由でも請負先の会社にたて突くと徹底した報復を受けることが記されています。最近増えたとはいえ請負派遣などの非正規社員はまだまだ少数派というせいもあるのでしょうが、なんとも不安定で弱い立場かと思い知らされました。(たとえば病気で入院が必要ということになれば、恐らく即刻契約解除か次の契約はないと思われます)
26 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自民大敗の一因を知る思い,
By ノーツオンザロック (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43) (新書)
2006年に開始された偽装請負追求のキャンペーン報道の成果をまとめたもの。高度成長終焉とバブル経済を経て社内に大量の過剰雇用を抱えのたうちまわった日本企業は、グローバリゼーションの流れのなかで『必要なときに必要な数だけ労働者を使いたい。それも、雇用や安全上の責任・義務を逃れる形で、安価に』という妄念のもとに暴走する。いまや製造業請負労働者が百万人規模に達しているという。 その浸食ぶりは、大手企業の先端技術の中核ラインにまで及んでおり「格差社会」の構造的実態と日本のものづくりや競争力の土台の危うさを浮き彫りにする。クリスタルという請負企業は、清掃請負から出発し、雑役、運搬、梱包から次第に製造ラインへと急速に浸食していく。ついには売上6千億円にまで膨張し違法の病理を日本中にまき散らす。しかしオーナーは2006年にあっさり経営から手を退く。それを買収したのがコムスンだという。 違法な偽装請負の当事者キャノンのトップであり経団連会長であり経済財政諮問委員会の委員に就いた御手洗が「現状の請負法制に無理がある」と発言したことをとらえて、民主党が安倍首相を追求している。この予算委員会の質疑答弁のくだりを読んだだけでも今回の自民大敗の一因を知る思いがする。 朝日新聞はその偏向と報道姿勢が何かと批判にさらされることが多いが、こうしたキャンペーン報道で素晴らしい追求と問題提起を行うことがある。本書は、まさにそうした朝日の質の高さを世に示した良書だと思う。
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