「良薬は口に苦し」という迷信がある。実際には、カプセルだったり甘かったり、副作用のない「良薬」はたくさんある。しかし、同じ成分なら苦いほうが「効く」。これは本当である。
また、ふつうの食品に大量に含まれているような成分でも、権威のある医者や学者が念入りに診療したあとで確信を込めて処方すれば「効く」のである。
効くならいいじゃないか。ウソの効果だと言う人もいるが、効けば本物なのだ。
一方、今でも「偽薬で治るのはウソの病気だけだ」と考えている医師がいるが、これこそ打破すべき迷信である。心身症だけではなく、外科手術が必要なはずの病気も偽薬で改善する。そのために本当の問題が見過ごされるようなことになれば、手遅れになりかねないのだ。また偽薬は、治す効果だけではなく、副作用だってある。ウソの薬ではない。偽薬は真に医薬品たる資格を備えた強いクスリなのだ。
だから医師は責任と知識をもって、熟慮の上で偽薬を活用すべきだ。本書には偽薬にまつわる数多くの実例と問題、また技術的な情報が収められており、精神科や内科のみならず、外科においても、医師が最大限の治療効果を上げるためのヒントがたくさんある。医療費の抑制が至上課題となっている昨今、偽薬の価値は非常に大きくなっている。本書は医療に関わるすべての人、および健康に関心を持つ人たちにとって必読の書と言えよう。
ただし、翻訳はかなりマズい。用語も統一されていないし (例: ホメオパシー/ホメオパチー)、おそらく逆の意味になっている文もある。フランス語が読めないので原文がどうなのかわからないが、精読するのではなく斜め読み程度にして、この本をヒントに自分のアタマで答えを探るようにすべきだと思う。