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偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1)
 
 

偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1) [文庫]

斉藤 光政
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

青森県津軽地方の農家の天井裏から“発見”された、膨大な数の古文書。正史に記されない驚愕の「失われた古代・中世史」の出現に、人々は熱狂した。

しかし、一件の民事訴訟をきっかけに、文書の真贋をめぐって歴史・考古学界、メディアを巻き込んだ一大論争がはじまる――。


偽書追及の最先鋒として、文書群の「トンデモ」ぶりを検証、偽書事件の構造を徹底した取材で明らかにし、論争に終止符を打ったひとりの地元新聞記者の奮闘記に、後日譚を加えた文庫版。


なまじの推理小説よりはるかに面白い、傑作ルポルタージュ。

内容(「BOOK」データベースより)

十四年前、「東日流外三郡誌」が戦後最大の偽書と呼ばれ、本州最北端の地を巻き込む社会問題にまで発展したのはなぜなのか?擁護派の敵とされながらも、真偽の追及に奔走した東奥日報の記者が真実に迫る。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 447ページ
  • 出版社: 新人物往来社 (2009/12/7)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4404037821
  • ISBN-13: 978-4404037824
  • 発売日: 2009/12/7
  • 商品の寸法: 15 x 11 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (27件のカスタマーレビュー)
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19 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
形式:文庫
 当事者たちにとっては思い出したくもない「事件」だろうが、野次馬として外野から見る限りこれほど面白い「事件」もない、というのが感想だ。あまりにも面白いので、地下鉄の目的駅を乗り過ごしてしまったほどだ。

 『東日流(つがる)外三郡誌』という「偽書」については、耳にしたことはあるが、数多い偽書の一つだろうと、あまり真剣に捉えたことはなかった。
 文庫版の表紙に書いてあるように、「戦後最大の「偽書」はいかにして生まれたのか」を執拗に追い続けた、岩手県生まれで青森県八戸市で育った、青森県の地方紙「東奥日報」の東北人記者が、「事件」終了後に求められた書き上げた、400ページ超にわたる一書である。東北人特有の粘り強さが、「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」受賞をもたらした。この間の、偽書否定派からの誹謗中傷も含めて、さぞかし大変なものだったろうと、苦労がしのばれる。
 とはいえ、繰り返すが、この本はめちゃくちゃ面白い。さすが、本業は青森県にある米軍基地問題をライフワークとして追ってきた「事件記者」である。この本も、1992年の「事件発生」から2003年の「事件終結」に至るまでの、12年にわたる「事件」追跡の記録を、時系列でまとめたものだけに、「事件」のあらましすら知らなかった私のような読者にも、「事件」の全容が手にとってわかるように書かれており、十二分に堪能、いや納得させられた。ある意味で、上質のエンターテインメント小説のような趣きのあるノンフィクション作品に仕上がっている。

 しかしそれにしても思うのは、関西生まれの私などには、けっしてうかがい知ることの出来ない、「三内丸山縄文遺跡」発見以前の、かつての東北人がもっていた屈折した思い、それと裏腹のプライドの高さである。それが、『東日流(つがる)外三郡誌』の作者に、この途方もない「偽書」を書かせたエネルギーになっていたようだ。最初はカネのために始めた「偽書」製作も、世の中に受け入れられているうちに、どんどんエスカレートしていって、本人も関係者にも収拾のつかない状況に突っ走ってしまったのが事の真相だろうか。
 文庫版の解説を書いているノンフィクション作家の鎌田慧も青森県弘前市出身の「津軽人」であるが、鎌田慧は「狂騒華麗な津軽三味線やネブタ祭りに熱中し、天衣無縫に踊りまくる彼らの気質の一端を奇想天外の虚言を吐いて、快活に笑い飛ばすかれらである」(須藤儀門)というコトバを引用して「津軽人」の特性を説明している。板画作家・棟方志功を知っている人には奇異には聞こえないこの発言、『東日流(つがる)外三郡誌』の作者にもそのままあてはまるようだ。

 面白うて やがて哀しき 『東日流(つがる)』かな

 なんて句を詠みたくもなる作品である。 
 超々おすすめである。
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48 人中、44人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 古代東北に、大和王権を凌ぐほどの王国が存在したとするこの「東日流外三郡誌」を巡り、真偽論争はいろいろなマスコミも取り上げ、おりからの古代史ブームもあって、90年代にはかなりの反響を呼びました。

 この事件は、ニセモノの古文書を市浦村の村史編纂委員会に持ち込んだ所蔵者の悪行はもちろんですが、それを半ば承知しながら税金を使って刊行した自治体の責任こそ糾弾されるべきものでした。しかし世間は真書派と偽書派の真贋論争に目を奪われ、自治体の責任追及はおざなりになってしまっていた感があります。

 また、学界もこの史料があまりにも荒唐無稽だったため、はじめから無視を続けた結果、いいかげんな学者のこれまた無責任な宣伝活動を野放しにしてしまいました。その学者は、かつて古代史論争で一世を風靡したこともあったので、「もしかすると、東日流外三郡誌は本物かも・・・」と思い込んだ人たちを生み出すことになりました。

 ちなみに“偽書”というのは、「そこに書かれたことがデタラメである」ということではありません。“偽書”とは、『過去の先人に仮託し、その文書が成立した由来や来歴を偽ったもの』というふうに定義されます。「東日流外三郡誌」は、“江戸時代の寛政期に書かれた”ものであるとしながら、その内容に近代以降の知識がないと書けない事がいくつもあったり、「古文書の筆跡が、所蔵者と同じ」だったことから、『戦後に書かれた“偽書”である』と断定されたのです。

 東日流外三郡誌が流布したことにより、本来東北に伝わっていた歴史や伝承が歪められた例は少なくありません。また、それをもとに「村おこし」などの事業を展開した自治体や団体もあります。そういったものは、きちんと修正されない限りは、歪んだまま後世に伝わることになります。その意味では、“東日流外三郡誌事件”は未だ終息してはいないと言えるかもしれません。

 オカルトマニアや古史古伝に興味のある人だけではなく、一般の人も読んでいただき、このような事件の起きることの危うさを知っていただきたいと思います、
このレビューは参考になりましたか?
69 人中、62人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「東日流外三郡誌」を「つがるそとさんぐんし」とちゃんと読める人、必読の本です。一晩で一気に読んでしまいました。じつに面白い本です。

私もオカルト・超古代史の基礎教養を学びまして、名前は存じておりました。しかしちゃんとしたのを読んだことがない。孫引きとかで知ってるだけで、これ、偽書ファンの特徴ですね。だから本書を読んでると、「このWって人のやり口は杜撰でスカタンでひどいなー」って思うんですけど、全然笑えない。ダマされた人たちをバカにできない。私だって当事者だったらダマされたかもしれないもの。東北人の文化的雰囲気、村おこし等の圧力、自治体や大学教授のお墨付きなどのいろんなバイアスが、この杜撰な「古文書」を堂々と一人歩きさせてしまった。その構造が、すごくよくわかります。

私の田舎にある三角の山は、本来の名前ではなく「日本ピラミッド」と呼ばれています。百年後くらいにはきっと歴史的事実になっちゃうんだろうな。ほかにも「ヘブライ語で日本民謡が読める」とか「アポロは月に行ってない」とか、耳に心地よい妄説は根強いですよね。

偽書が元になって世界的な勢力が生まれることもあります。アメリカの巨大なキリスト教もどき教団の経典も偽書ですが、これを指摘し続ける人はあまりいません。

偽史・偽書のたぐいは死に絶えることがありません。信じたい人がいるだけでいい。「東日流外三郡誌」もきっと近いうちに復活するでしょう。いや、すでに書店には「偽書とされるが実は真実を書いた部分もある」というスタンスで紹介している本が並んでいます。ちょっとしたエクスキューズさえはさめば、どんなトンデモだって出版できちゃう世の中です。

単なる労作じゃないです。真摯に事実と向かい合い、耳に心地よくないことを書き残した、勇気ある記録です。その結果、人間心理の深奥に切り込む鋭いルポになりました。
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