息抜きのつもりで手に取った。たしかに一気に読めたけど、読後感はなんとも晴れ晴れしない。全体の半分近くを占める少年犯罪や心神喪失問題という題材の重さもさることながら、この息苦しさはたぶん、著者の語り口に起因している。著者自身が自分の方法論に言及しているのを読むまでもなく、1行1行の背後に資料やデータが高密度に隠れているのが伝わってくる。ジャーナリストとして当然、と著者は言うだろう。しかしそれ以上に、「なめんなよ。寄らば切るぞ」みたいなピリピリした過敏さも感じてしまう。そしてその分だけ閉塞感も漂っている。
ただの勘ぐりなら申し訳ないが、この閉塞感は、著者が中3の時に弟さんを少年犯罪で亡くされたという「闇」を抱え込んでいることと関わりがあるように思える。その「闇」が著者に怨念の言葉を紡がせているようで、正直言って心がだんだん辛くなる。佐高信叩き(9章)の、かすかな後味悪さもそこにつながるのではないか。佐高がなぜこんなにメディアで重用されるのか私には長年の疑問だったので、とても参考になる内容ではあったのだが、著者が自分で意図しているらしいほどには叩き方にユーモアがない。牛刀を振るった感じだ。
3・4・6・7章を中心とする、犯罪と刑罰を論じた部分がやはり圧巻。私見では「法に忠実たれ」と「法が不備だ」、「欧米の流行に惑わされるな」と「欧米の基準を見習え」が混在して、やや行論に揺れを感じるが、立場の違いを超えて一読、二読に値する。