著者は極めて聡明かつ博識(かつ声の大きいこと)で知られる斯界の第一人者であると拝察する(本名で書かれていないので、あくまで拝察するしかないのである)が、本書ではその緻密な(理系的)論理展開を如何なく発揮されつつも、我々の大好きな「人情」というエートスに拠ることにより、とかく格好をつけたがる本邦のがん医療を論じた他の書物にはない「本音」を小気味良く展開されており、是非多くの方々(特にがん患者さんとその家族)に読んで頂きたい書である。
ただタイトルに示したように、新書といえども本名で刊行されるべきであった。
医学論文とは異なり多くの一般オーディエンスを対象としているとはいえ、世間に対し「論を立てる」ということにおいては著者の責任はかわらない。
かの新聞社の方々ですら「署名記事」により本名を明らかにしているように(それゆえ時折2chにその氏名をさらされているのだが・・・)、文系の方々もそれなりの矜持をもって本名で論を立てておられるのだから、著者があえて「白い巨塔」の里見助教授の実兄の名をペンネームにされる必要はないように思われる(気持ちはわかるけどね・・・田宮二郎版「白い巨塔」の岡田英次は良かったですなあ)。