浜名湖近くの温泉街の土産物屋でみつかった女性の首吊り死体。自殺にみえたが、そこには偽装工作の跡が。夫が容疑者として浮かび上がるが、彼にはアリバイが・・・。アリバイくずしものの本格ミステリです。
メインとなるアリバイトリックは、著者の十八番だけあってよくできており、そこに万年筆のインクや写真など細々とした小道具が効果的に使われているあたりはさすがです。
また、ミステリの出来不出来にはあまり関係のないことなのですが、刑事の一人が手がかりを追い求めて訪ねる瀬戸内海にある(架空の)小島、そこは島全体がハンセン氏病患者の療養所となっているところで、青い海と青い空、緑の木々に囲まれたとても明るい場所にある、近くの住民たちから忌避されひっそりとたたずむ療養所のイメージが目の前に鮮烈に浮かび上がってきて、とても印象的でした。