久しぶりに手に取った呉智英の新刊。サルの正義→危険な思想家につらなる啓蒙思想批判をメインにしたコラム集。
氏はサブカル保守の中心に位置するような人で、ネット右翼のご先祖だと思われがちだ。
実際、氏のコラムが2chで話題になることは一度や二度ではないし、親和性は高そうだ。
だが氏は別に天皇制や男系維持を主張しているわけでもない、
(派と括れるなら)嫌韓派とは論調がだいぶ異なるし、
自国を支那と呼ばせない中共やそれに追随する日本外務省の体質は激しく批判するものの、
氏の思想の中心は儒家思想にあるので、支那憎しで凝り固まっているというわけでも、敵の敵の台湾を妙に持ち上げたりもしない。
呉智英は政治的な言説に警戒が強く、古くは小林よしのりの脱正義論で小林の政治に対する脇の甘さを批判していたことにも現れる。
胡散臭い政治的な言説を識別し、その胡散臭さを左右両派に関わらず批判する、
言論のバランサーとしての呉のキャラクターがよく現れている。