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偏愛文学館 (講談社文庫)
 
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偏愛文学館 (講談社文庫) [文庫]

倉橋 由美子
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)

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  • 著者ページ: 著者の作品一覧や、著者写真・略歴など、著者に関する情報を満載した「著者ページ」。著者の方は、「著者セントラル」へ。


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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

急逝した作家、倉橋由美子が残した至高の言葉。
創作、その根源をたどり、著者が愛した作品だけを集めた、37篇、39冊の偏愛書評集。
夏目漱石、吉田健一、宮部みゆき、ジュリアン・グラック、ラヴゼイ……。古今東西39冊の「本」を取り上げた、倉橋由美子の手による私的書評集。最高のブックガイドとしてだけでなく、著者の作品世界、その背景までをも垣間見ることのできる究極の読書案内。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

夏目漱石、吉田健一、宮部みゆき、ジュリアン・グラック、ラヴゼイ…。古今東西様々なジャンルの「本」39冊を独自の視点観点で紹介する。ブックガイドとしてだけでなく、『大人のための残酷童話』『パルタイ』といった名作を残した著者自身の作品世界、その背景までも垣間見ることのできる究極の読書案内。

登録情報

  • 文庫: 232ページ
  • 出版社: 講談社 (2008/7/15)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062760924
  • ISBN-13: 978-4062760928
  • 発売日: 2008/7/15
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 360,743位 (本のベストセラーを見る)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 東の風 トップ100レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
 著者・倉橋由美子が、「この小説、ここいら辺が面白いんだなあ」と紹介していく手つき、センス、目の付けどころ、何より文章がとてもいいので、「あ、それ、読んでみたいなあ」という本が何冊も出てきた書評集。以下に引いた文章のごとく、「言い得て妙だなあ」「上手いこと言うなあ」という件りが、あちこちにあります。

<その文章は食べ出すとやめられない駄菓子のようで、しかもそれが「本邦唯一」という味ですから、雑文の断片まで拾って読み尽くすまではやめられないのです。>(内田百けん『冥途・旅順入城式』)
<三島由紀夫は尋常ならざる作家で、その作品は強力な虚無、あるいは死に取り囲まれているために、直視すると目がつぶれそうな太陽にも似た輝きをもっています。その短編はどれも「悪」の濃度が高く、毒薬を口に含んで味わうような趣があります。読み終わってそれを吐き出すか、そのまま飲み下すかは読者の自由です。>(三島由紀夫『真夏の死』)
<上滑りせず、呼吸を乱すこともなく、変化する言葉とともに歩いていくことで時間がたって、読みはじめた時午前の日差しが障子に差していたのが小説が終わった時には遠い山に夕日が当たっていることに気づけば、読んでいた間は至福の時間だったというのも余計なことで、その時間は日差しの変化を感じながら呼吸している自分の時間につながります。>(吉田健一『金沢 酒宴』)

 上記作品以外、本単行本に取り上げられた著者の偏愛作品(おすすめ本)は、次のとおり。
◎夏目漱石『夢十夜』 ◎森鴎外『灰燼/かのように』 ◎岡本綺堂『半七捕物帳』 ◎谷崎潤一郎『鍵・瘋癲老人日記』 ◎上田秋成「雨月物語」「春雨物語」 ◎中島敦『山月記 李陵』 ◎宮部みゆき『火車』 ◎杉浦日向子『百物語』 ◎蒲松齢『聊斎志異』 ◎『蘇東坡詩選』 ◎トーマス・マン『魔の山』 ◎『カフカ短篇集』 ◎ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』 ◎同『シルトの岸辺』 ◎カミュ『異邦人』 ◎コクトー『恐るべき子供たち』 ◎ジュリアン・グリーン『アドリエンヌ・ムジュラ』 ◎マルセル・シュオブ「架空の伝記」、ジョン・オーブリー「名士小伝」 ◎サマセット・モーム『コスモポリタンズ』 ◎ラヴゼイ『偽のデュー警部』 ◎ジェーン・オースティン『高慢と偏見』 ◎『サキ傑作集』 ◎パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』 ◎イーヴリン・ウォー「ピンフォールドの試練」 ◎ジェフリー・アーチャー『めざせダウニング街10番地』 ◎ロバート・ゴダード『リオノーラの肖像』 ◎イーヴリン・ウォー『ブライツヘッドふたたび』 ◎壺井栄『二十四の瞳』 ◎川端康成『山の音』 ◎太宰治『ヴィヨンの妻』 ◎吉田健一『怪奇な話』 ◎福永武彦『海市』 ◎北杜夫『楡家の人びと』 ◎澁澤龍彦『高丘親王航海記』
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28 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本|Amazonが確認した購入
拡張性心筋症が重態化すれば,あとは移植手術以外に延命の手段はない.こうなると,死を覚悟するのが最良の生き方となろう.するとこの世に怖いものはなくなる.怖いものがない人ほど怖い存在はない.この本はこのような人が,大切に思う作家について論じた短文を集めたもの.読む側にとっては最高の恐怖文集である.漱石論,ハイスミス論,福永武彦論,すべてここまで誰も言わなかった正論が読む者をぞっとさせる.しかし正論なので,爽快感を与えてもくれる.著者晩年の作品の内幕も,少し明かして貰える.素晴らしい本ではあるが,もうこの人がいないのか,という喪失感もまた一入.
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By shao113
形式:単行本
すでに重病を患っている認識がある倉橋は、倉橋自身が何度も作品の中に登場させている老人たちのように、他人への遠慮というようなものが無くて、書評という形の本作品でも強い偏屈ぶりを見せている。 まさしく「偏愛文学館」という書名がふさわしいし、倉橋の自作も含めた「小説を書くこと」への価値基準のようなものが、ストレートに読めて嬉しい。 若いころに書かれた作品の登場人物と、死を視野に入れた現在の作者が、似た顔つきで端座しているのを見ると、価値基準の強さを感じる。 それも病的な感じは微塵もしないので、精神の確からしさが伝わる。

とはいえ、この偏屈ぶりで自作を書くのは命を縮める難業だったことが容易に推測される。 倉橋も以前レース編みに例えていたことがあるが、可愛らしい編物というより、強固な編目を頑固な緻密さで組んでいく工芸品としてのレースのイメージだろう。 北欧のどこかに、伝統工芸としてのボビンレースがあったが、厳しい冬や、荒海の容赦無さか何か、強力な外界の力に対して無言で拮抗していくような編目の密度がある。 それでいて、ペルシャ絨毯のような息苦しさは無くて、あくまでレース編みの軽やかさを保つ。 そんな感じ。

伝統工芸のレースもそうかもしれないが、倉橋の作品も、見た目の軽やかさとは裏腹に、持ってみた時の「重さ」は作者本人の意図に反するほどになることがあるだろうか(練達にそんな心配は不要?)。 絨毯は少女たちが若い時間を削って編み込んでいく「重さ」が相応しいが、レースの方は、老女たちの限られた時間で、適度に乾燥させながら編み上げる「軽さ」が求められそうだから、晩年のこの書評集はとても良い。

自分は素人で、気楽にブログなど書いているが、倉橋ほどの精神の健康さは無いので、プロでなくて良かった。 まったく。

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