半世紀をへて名著がよみがえった。
初版は1950年に「中学生全集」(全16巻)の一冊として筑摩書房から出たものだ。
タイトルのように、古代から近世にいたる2000年の間に排出した偉大な数学者たち
の人生と業績が実に平易に簡潔に、また驚くべき事にひと続きの歴史として書かれている。
ガリレオや最後の登場人物であるガロアのように劇的な生涯を送った人物も少なくはないが、
読んでいて血わき肉おどる感動に次々おそわれるのは、そのためではない。数学が、まるで
生き物のように成長していく様が手にとるように伝わってくるからなのだ。数式も術語も
ほとんど皆無なこのようなコンパクトな本で、なんという名人芸であろう!
あとがきにこうある。「すぐれた芸術作品と同じように、数学においてもすぐれた著作は
深く人を感動させる」 なるほど、これは感動の連続体としての数学史なのだ。そして、
それを貫く主調低音は「数学への狂熱」すなわち「高度の精神の集中とそれをつづけていく
強い意志」である。「このことの中にこそ、何ものにもかえがたい深い喜びがひそんでいる」