『小説すばる』において,10年05月-11年04月まで連載されていた作品になります.
ファンにはおなじみの,ありそでなさそでありそな(?)近畿地方が描かれており,
京都,
奈良,
大阪に続いての舞台となるのは滋賀.鍵を握るのはもちろん琵琶湖です.
物語は,プロローグから気になることをチラつかせながらもすぐにすべては見せず.
これに著者お得意の不思議な世界観が加わることで,先へ先へという期待を煽ります.
また,一人称視点での進行やコミカルなやり取りもあって,読みやすい印象を受けます.
反面,いがみ合う名家や琵琶湖が…など,ありがちな流れに感じられる部分もあり,
『不思議な力』を使う人たちの物語ため,都合がよすぎるような展開があるのも事実.
特に最後の問題を解決した『力』については,結末までを含めて好みが分かれそうです.
ラストもそれまで漂っていた雰囲気から一転,明るさの残るものではありましたが,
あまりに予想通りとなるため,予定調和なのかもしれませんが物足りなさが残ります.
他にも,思わせぶりに描かれた大物たちはもう少し物語に絡んでほしかったですし,
どうも物語の『軸』が見えづらく,かといってエンタメにしては少しばかり冗長で….
青春小説的なニオイは楽しめますが,あまり舞台を生かし切れていないように感じます.
なおあとがきはなく,書籍化にあたっての改稿などにも触れられていませんでした.