『倭姫命(やまとひめのみこと)が実際にいらしたかどうか、それが学術的に実証されていなくても彼女が滞在されたと伝承される場所は、今も一つのエネルギースポットである。古くから続く神社の場は、まさにそうした場所であることが多い。』――昔々、倭姫が辿ったとされる元伊勢のパワースポットを、見えない何かに導かれるように、著者は、そのルートにしたがって実際に旅をします。
訪れた神社での、その場で感じた様々なエネルギー・その地で出会った風景・人々との交流・感じたことを綴ったエッセイとして。各神社へのアクセスなど神社情報付のガイドブックとして。どちらの目的でも楽しめます。
旅の様子を綴った文章は、起承転結の4部構成になっていて読みやすく、カバー・書・口絵写真も見ていて心が和みます。本文のほかに地図・巡幸地リスト・神社情報・用語解説・番外編コラムと内容も盛りだくさんで、読み応えのある1冊でした。頭だけでなく、ハートからも、倭姫を“感じ”ることができそうです。
私は、倭姫のことを全く知りませんでしたが、この本を読みながら、現在と昔を行ったりきたりしながら思いを巡らせるうち、倭姫と、倭姫の時代から連綿と続く人々の生き方に、私たちが忘れている大切なことを思い起こさせてもらったような気がして、自分でも意外な発見がありました。
また、日本国内だけでなく世界の聖地を訪れた経験を持つ著者だからこその、聖地比較や、エネルギースポットに対する考察なども、興味深く読みました。
自分にはとても、著者と同じような感覚で自然界からの精妙なエネルギーの違いを感じることは出来そうにないけれど、私も、これまでとは違った感覚で、元伊勢や伊勢神宮の神さま達を、訪れてみたいと思いました。そして、ご近所の神社や、神社を取り巻く環境についても考え直すきっかけになりました。
著者にとっては、遷宮地を巡るこの旅が『霊的な探求の旅』であり『人生の「レッスン」』になったように、読者もまた、豊かで気づきに満ちた時間を共有することでしょう。旅の終わりには、倭姫から、やさしく微笑みかけてもらえるのではないでしょうか。そんな、爽やかな満足感をもって、読了しました。
スピリチュアルに傾き過ぎず、現実もしっかり見つめつつ、深く考え、生を楽しむことも忘れずに・・・まさに倭姫の『「神に対する敬虔さ」と「現実を切り拓く勇気」』を体現しているかのような、バランスのよい内容でした。
パワースポットのガイドブックでありながら、人生の旅のガイドブックにもなり得るでしょう。
巷に溢れるパワースポット本とは、一線を画した書です。