本下巻も、いよいよ到来する運命の一日とその前史を描いて余すところなく読ませる。
読めば判る一書であり、もはや贅言は不要だが、私は本書でジョン・オニールの物語と米国が運命の日を回避することができなかった最大の要因であるCIAとFBIのセクショナリズム対立について、初めて知った。云うまでもなく、特に前者の責任はとてつもなく重いように思われる。
また、突入した二機の犯行者たちを揺籃したドイツに関する記述も、目を惹いた。
「国内で策動する外国人勢力への対処法には一種の不文律がある。すなわち、ドイツ自身が標的にされないかぎり、そのまま放置しておけ−というものだ」(190頁)。
「急進的イスラム主義と、国家そのものを壟断したナチスのあいだには、共通点はほどんどない。・・・ ただ、敗北の恥辱のなかで生まれた点は、ナチスと似ていなくもない」(同)。
「「九・一一」の華々しい勝利にもかかわらず、全世界のムスリムはアルカイダに合流の動きを見せなかった。ビンラディンは裏切られたような気分を味わった」(304頁)。当然であろう。