往年のフランス大統領シャルル・ド・ゴールと、レジスタンス運動をともに戦い、その後ドゴールのもとで文化大臣を務めた作家:アンドレ・マルローの対談です。
山のような脚注に助けられながら、話題となる第2次大戦前後のフランス政治史の回想を読み進めることになりますが、二人とも読者を意識せず、会話の分野は政治に限定されず、二人にしか分からないようなやりとりもそのまま会話として収録されるので、難しい、入っていけない感じに悩まされるかもしれません。
それでも、表立ってドゴールを持ち上げるでもなく、歴史の中に無理やり位置づけるでもなく、淡々とした対話の中から孤独な政治家の肖像を浮き彫りにしようとするマルローの筆致は深みがあります。
日本の政治家の晩年の対談で、文学的にこのレベルまで高められ読まれているものは思い当たりません。普通にやれば、手柄話のオンパレード、歴史に名を残したいと言う政治家のエゴ丸出しの駄作に陥る危険性がありますし。作家が政治家との対談を残す、ということは、日本の文学としてはあまり試みられていないのではないでしょうか。それに値する政治家がいない、ということかもしれませんが・・・・
ドゴールもマルローも、最近ではあまり顧みられなくなっている感がありますが、その存在はいまだに重みがあり、永く読みついでいって欲しい本の1冊だと思います。