◎ 著者の言葉
東海道新幹線のグリーン車には、座席の前の椅子の背に「ひととき」という雑誌が挟んである。
この本は、その雑誌に「個人美術館ものがたり」として四年近く連載していたものをまとめたものだ。
でも、グリーン車以外には置いていないので、今回はじめて目にする人もいるはずだ。
個人美術館というのは、一人の作家だけの美術館と、一人のコレクターによる美術館と、二通りの意味がある。
作家にしろ蒐集家にしろ、そこには多くの歴史が積み重なってあるので、訪ねればどうしても、
しみじみとその人生を想うことになる。
◎ 内 容
秋野不矩、植田正治、小磯良平、ベルナール・ビュフェ、熊谷守一、
香月泰男、河鍋暁斎、イサム・ノグチ、安野光雅、猪熊弦一郎、杉本健吉etc.
個人美術館の愉しみは、近現代を彩る芸術家たちの足跡を眺められること。
もう一つの愉しみは、その作品の山を築くことになったコレクターの、熱情を見ること。
大金を投げ出して手に入れた人の熱情が並ぶと、その熱を通して見えてくるものがある。
日本にある、魅力ある個人美術館を厳選。赤瀬川さんが紡ぐ46の物語。
◎ 著者プロフィール
赤瀬川原平(あかせがわげんぺい)
1937年神奈川県生まれ。画家、作家。武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)中退。
60年代、前衛芸術家として活動。70年代、独自の批評を盛り込んだイラストレーターとして活躍。
81年、「尾辻克彦」名義の『父が消えた』で芥川賞を受賞。86年、藤森照信、南伸坊らと「路上観察学会」を結成。
著書に、『赤瀬川原平の名画読本』(光文社知恵の森文庫)、『超芸術トマソン』『老人力』(以上、ちくま文庫)、
『新解さんの謎』(文春文庫)、『千利休 無言の前衛』(岩波新書)など多数。
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最も参考になったカスタマーレビュー
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
赤瀬川さんと行く全国〈個人〉美術館の旅,
By レバニラアイス (愛媛県今治市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 個人美術館の愉しみ (光文社新書) (新書)
赤瀬川さんが日本各地の魅力ある個人美術館を訪ね、その成り立ちを取材するとともに、所蔵作品を鑑賞していく一冊。雑誌の連載をまとめて再編集したものだそうです。45の美術館が豊富なカラー図版付きで紹介されていて、赤瀬川さんが寸評を加えている作品は、だいたいその写真も載っています。「個人美術館」には二通りの意味があって、ひとつは一作家単独の作品群からなる美術館のことで、もうひとつは私的な一個人のコレクションに由来する美術館のこと。赤瀬川さんはそれらの美術館が創設されることになった発端に関心を寄せ、来歴にまつわる数々のエピソードを通じて、美術館の礎を築いたコレクターや画家たちの人柄と人生に思いを馳せていく。 赤瀬川さんの語り口は自在かつ率直で、緩やかに作品をとらえていく文章は平易で親しみやすいけれど、そこには同じ画家としての批評眼に裏打ちされた実感がこもっている。 また、建築物としての美術館にもスポットが当てられていて、外観や内装、展示室の様態などが来館者の視点から語られている(入口で靴を脱ぐかどうかの違いにも着目している)。美術館が立地する周辺の環境についても触れられているので、写真とあわせて、美術館のことをよりイメージしやすかったです。場合によっては、美術館へのアクセスの段階から記述がなされていて、現地に不案内な赤瀬川さんの様子が時に垣間見えて、それも本書の楽しさの一つになっている。他にも随所に赤瀬川さん独特のユーモアが感じられ、リラックスしながら読んでいけます。 つい続編や海外編を期待してしまうくらい、本書の内容はとても充実していて面白かったです。 【地方別収録美術館数】九州地方:3館 中国地方:7館 四国地方:3館 近畿地方:7館 中部地方:10館 関東地方:15館(※東京から最多の7つ、次いで愛知から5つ選ばれていました。)
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
著者自身が訪問した45の個人美術館が紹介されています。,
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レビュー対象商品: 個人美術館の愉しみ (光文社新書) (新書)
著者自身が訪問した45の個人美術館が紹介されています。個人美術館というのは、作家やコレクターの情熱の結実として 存在していると強く感じました。 私が訪問したことがあるのは僅か5館でしたが、 この本をガイドにいつかは全館を訪問してみたいと思いました。 特に、行きたいと思ったのは、 まず、愛知県美浜町の杉本美術館です。 杉本健吉の「僕はずいぶんウソを描いています。」という言葉が気に入りました。この人の絵を見てみたいと思います。 次に、群馬県桐生市の大川美術館です。 ここには松本竣介の絵があったからです。 どちらの絵も現実と幻想の狭間にあって、それこそが絵だと思うからです。 という訳で、私は小出楢重の絵も好きです。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
美術館を巡る旅に出たくなる本,
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レビュー対象商品: 個人美術館の愉しみ (光文社新書) (新書)
敬愛する赤瀬川原平さんが、全国の個人美術館から46館を訪れ、その印象記を1冊にまとめたものです。「超芸術トマソン」「路上観察学会」「日本美術応援団」などのユニークな試みは美術好きの記憶に残る功績でしょう。新書ですので掲載の美術作品のサイズは小さいですが、オールカラーで掲載してありました。1つの美術館を6ページの分量で紹介してあり、コレクションの内容、特徴ある美術品などを紹介しています。コレクターの生い立ちや経歴にも触れ、そのコレクションの成立過程にも言及してありますので、個人美術館の魅力もそのあたりから感じられるようになっていました。視点の確かさが本書の特徴だと言えるでしょう。 日本一の横山大観コレクションを誇る島根県安来にある足立美術館は17ページから6ページを使って紹介しています。書かれているように桂離宮を抑え、外国人が選んだ日本一の和風庭園という評価を持つ同美術館ですが、廻りの景観と所蔵品の質の高さは一級品でしょう。回廊を辿るたびに外の景観が変化し、ガラスの枠を利用した一服の絵のような自然空間が広がります。絵を鑑賞しながら、周りの庭園も鑑賞できるこの美術館は、他に類をみない癒しの空間とも言えると思います。横山大観の素晴らしいコレクションを誇る美術館ですので、もう少し所蔵作品の紹介があっても良かったとのにと思いました。 209ページからは、熱意のかたまりと書かれているアサヒビール大山崎山荘美術館を取り上げています。天王山の麓にある英国風の洋館の佇まいと内部の設えが落ち着きと格調の高さを示していると言えるでしょう。モネの睡蓮だけでなく、陶芸品のコレクションが洋館のインテリアと実にマッチしていました。 古典の魅力を今に繋げる細見美術館、“新品同様”の揃う宝庫の徳川美術館、折り目正しい自然描写と称された神戸市立小磯記念美術館、緻密に練られた展示環境の根津美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、中野美術館、大原美術館などの紹介を自分の感想と照らし合わせて読みました。 ウッドワン美術館や津和野町立安野光雅美術館は今後是非訪れたいものの一つです。
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