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29 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
友人の奨めにしたがって読んだ本,
By
レビュー対象商品: 個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10) (ペーパーバック)
大江健三郎がノーベル文学賞を受賞したときに、何か一冊読もうと思ったのだけれど、どうも彼の小説はおそろしくむずかしいものばかりだというのが世間一般の通り相場でした。そこで文学に造詣が深く、大江の大ファンだという友人に、何か私みたいな<文学素人>でも読める大江作品を紹介してほしいと頼んだのです。そして「読んでいる途中で投げ出す心配が少ない作品」として紹介されたのがこの「個人的な体験」でした。確かにこの本はとても読みやすい小説です。そして「障害をもって生まれてきたこの子を、私は引き受けて生きていくことができるか?」という設問に対して私自身、主人公とともに激しく苦悶し、現実逃避の心を抱き、そして最後にはひとつの決意のようなものが胸の中にかすかに生まれるのを感じたのです。 物語によって与えられる悦びというのは、まさにこのように登場人物という他者の人生を生きるという経験でしょう。この小説にはそういう経験と悦びを与えてくれる力があると思います。主人公の人生そのものがたとえ苦いものではあっても。
35 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読書の経験,
By カスタマー
レビュー対象商品: 個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10) (ペーパーバック)
よい作品というものは、読者に経験の“痕跡”のようなものを残す。この作品は生まれて来た子供が畸形であったことで決定的に、深甚な自らの存在に関わる不安の中に陥った主人公の“僕”が、そのように突如として自らに対して敵意を持ったものとして露に立ち現れてきた世界を受け入れていく、それと対峙して生きていくことを決心していく過程を描いているのだが、著者の文章は、読者を、その異様な、深い経験の中に連れ込み、読者の精神に経験の核を刻み付ける。そして、読者は、読後、不意にその“傷”が疼くのを感じ、深甚な不安の内に、それを乗り越えることを要求されるのである。それにしても、これほどまでの経験の痕跡を僕に与えた作品は、未だかつてないのであって、そういう意味で、この作品は僕に!とって最も大きな作品のひとつであり、そうである以上、他の多くの読者にとっても多かれ少なかれ衝撃的な作品であろうと思うので、出来るだけ多くの方に、是非一度読んで見て欲しいと思う。
21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ブンガクってこういうもの。,
By カスタマー
レビュー対象商品: 個人的な体験 (新潮文庫 お 9-10) (ペーパーバック)
今日び、小説なんていうものは多数流布しているものですが、元来あるべき小説や文学なんていうのは、こういうものだと思います。 読んだ直後に感じることが、個人個人によって違う。 一貫する感想なんていうものがない。 そしてそれは数年後、また変化してしまう。 10人中10人が「よかった」「感動した」等と同じ感想を述べるようなものは、粗筋であって小説ではないのです。 「個人的な体験」は、まごうことなき「小説」です。
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