学生時代に同級生に脅され関係を強要されていた、有名塾講師の俊一。
7年後、その彼が、同級生に半ば強引に弟の家庭教師をさせられてしまう
ところから物語は始まります。
当時11歳だった弟、育美は当時兄と俊一との行為を覗き見たことから、
俊一に異常な執着を抱いていて・・・
あらすじだけなら、物語半ばまでは、
既にあちこちでも書かれたありふれた話かもしれません。
未成年との関係に悩む俊一、
育美が見せる執着と純粋な恋心。
二人の関係に気付いた兄が取る行動。
それだけでも、作者の筆力で十分読ませます。
俊一が哀れに運命に翻弄されながらも、
最後にきっと大団円が待っているはず、と。
最後の最後。
思い切り裏切られます。
そのための無数の伏線(職業、香水、兄と俊一の関係・・・)は、
実に見事に張られていて、
恋愛小説だというのに心理推理モノを読んだかのような
読後感。
最初読んだ時は、頭をガツンとやられたような
衝撃に驚いて、
ラスト以外のストーリーが頭から吹っ飛んでしまったほど(笑)。
それくらいのインパクト。
万人受けは決してしないけれど、
今までのBLに物足りなさを感じている方は、
一読の価値があるのでは。
手放しで好きとは云えないけれど、
欲しいものを手に入れるために俊一の取った行動は、
ただ受身に愛されるキャラクターと一線を画していて、
人としての闇と、リアリティを感じます。
恋をするのは簡単だけど、永遠を手に入れるのは、
これほどの執着が必要なのかもしれません。