著者の略歴をみると機関投資家で巨額の運用をした後、現在は大学で金融の講師をしているとある、しかし個人的には株式投資を一度もやったことがないともある。基本的にはインデックス投資に特化した10年以上の長期運用が有利であるという趣旨で類書として藤沢 数希の“なぜ投資のプロはサルに負けるのか?”やチャールズ・エリスの敗者のゲームなどがある。また短期的な売買は博打であり必ず負けるというのもこの手の本に共通している。しかしながら投資においてもっとも重要なエントランスとイグジットに関する記述がなくこれがなければどんな説明も可能で無意味である、単にマネーサプライが無限に増加するからインフレは永久に続き、資金が投資商品に長期的に流入するので上昇するはずだから買って持ってればいいという単純な結論に行き着くだけの話をまわりくどく述べているにすぎないということになる。私はプロのトレーダーを10年、その後は少数の顧客を抱え個人で株式と株式・債券先物で20年以上相場を張ってるがノーリスクのサラリーマンの運用者やトレーダーはどんなに高収益をあげても所詮は知れており参考にならない
、本物の自身の資金でリスクを取り相場を張ってる投資家では長短にかかわらず10年の期間で見て勝ち越してる投資家はプロでも数%程度しかいない。30年の経験から見ても長期投資家は全滅で腕のいい短期中期の投資家のみ勝ち残ってる、そういう人物に共通しているのは抜群に頭がよく特に数理能力に長けており、また世の中の事象に対し、即座に事の裏面と本質を見抜く冷眼の持ち主で半分以上が日経新聞、ロイターなどセルサイドのプロパガンダの片棒担ぎとみなしバカにして読まない。そもそも人間という不確定要因が市場の変動要因の大半を占めるのにそれをほとんど考慮に入れず、ろくに確立されてもいない既存の学説に立脚して科学的・数理的に説明しようとするのは無理がある。それらはマスコミを使って大衆を煽る材料にされるだけで投資銀行やCTAなどが先物を使って市場ごと操る相場操縦、さらにえげつないやり口で個人をカモリまくる証券会社と企業等々が儲けるだけでそのぶん投資家が負けてるということになる。いくら投資家側に立った論陣を張っても個人で相場を張ってなければセルサイドの一員にしかみえない。金融の優秀な人間はいくらでも需要があり、大学の講師などをやってるということにそれが象徴されているのではないかと考えさせられる。個人で相場を張ったことのない人間がいくら投資理論を述べても参謀本部で最前線の殺し合いを数式で計算して後世、子供でもわかるような負け戦を繰り返したエリート参謀と同様、空論である。しかしながら結論としては中級者向け投資本としては80点、特に株式は投資家のレベルが低いためゴミ投資家向けのクズ以下の本が90%以上占めるなかではいい部類に入り、中級入り口の知識を得るにはよいと思い批判的ながらもレビューを書く価値ありと判断した次第です。