友人の薦めで本書を手に取りました。
起業ブームの頃に流行った、起業を煽る様なありがちなハウツー本かと思いましたが、内容は全く違うものでした。
むしろ、当時の起業本に足りなかった「会社を長く続けていくための周到な準備」、そして法学部出身でもある著者の根底にあると思われるリーガルマインドの大切さが随所に埋め込まれており、商売を続けていく為に必要な構えは当たり前だけど「誠実さ」なのだなと改めて実感させられました。
2年前に会社を立ち上げた者として、もっと早く本書に出会いたかったというのが正直な感想です。
私自身、各種の届出や変更等に要する労力や時間(役所の回答は遅い)へのストレスは起業して初めて分かったことだし、様々な助成制度等があってもこちらから聞かないと教えてくれない事が多かったというのが実感です。
また、知っているか知らないかで物凄く差がつくとは良く言われることですが、日々の業務に追われてついつい後回しにしてしまうのが実情でした。
会社を経営していると、好むと好まざるとによらず、様々な法律の規制と向き合っていかなければなりませんが、税理士さんは税法中心に社労士さんは労働法や社会保険中心にと「部分」だけを語る著書が多かった気がします(それゆえ法律の体系・構造が理解できず、法律嫌いになってしまったのですが)
しかし、税理士でもあるこの著者はもう一つ上の上位概念として、信用の視点で各法律の関係性や会社に与える影響を実に分かりやすく書いてくださってます。
また、個人事業を否定するのではなく、事業者それぞれの価値観からどちらを選べば法律が自分の人生に見方をしてくれるのかを示しています。
地域の信用金庫や商工会議所等に著者のような考えを持つ人材が増えたなら、きっとたくさんの小規模・零細業者が救われることでしょう。
節税や社会保険の会社負担云々といった「部分最適」ではなく、長く会社を発展・継続するための「全体最適」を提起する著者の姿勢に、リーガルマインドを持つ著者の法律家としてのプライドを感じました。
これから起業を考えている方はもちろん、現在2代目として修行中の若手経営者の方にとっても、会社の構造を知る基本書として、読んで損はない1冊だと思います。