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個人と国家 ―今なぜ立憲主義か (集英社新書)
 
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個人と国家 ―今なぜ立憲主義か (集英社新書) [新書]

樋口 陽一
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

個人とは? 自由とは? 国家とは? そして、個人にとって憲法のもつ意味とは? 根源的な問いに答えつつ、民主主義の限界を明らかにし、欧米で再認識されてきている立憲主義の重要性を説く。

内容(「BOOK」データベースより)

個人、国家、自由、民主、人権、政教分離、そして憲法。自明のこととして普段なに気なく使っているこれらの言葉の持つ本来の意味を考えながら、個人にとって国家とは何か、憲法とは何かを考えていく。あらゆる政治体制が「民主」という名において説明される現代において、「民主主義」という言葉は何も語っておらず、個人が個人として尊重される社会を確立するためには、国家の権力をも制限する立憲主義を再認識して、「憲法」を本気で議論すべきであると著者は説く。

登録情報

  • 新書: 232ページ
  • 出版社: 集英社 (2000/11/17)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087200671
  • ISBN-13: 978-4087200676
  • 発売日: 2000/11/17
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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近代知の復権 2005/1/13
By world3
形式:新書
著者は憲法学の大家で、とりわけ比較憲法の専門家。著者の主張の中核は、現在の日本では国家が経済的問題について自己の役割を縮小させつつある一方で、精神的問題について自己の役割を肥大させつつあり、これは立憲主義の伝統から見た場合逆ではないかということ。前者として主に念頭に置かれているのは規制緩和やそれに伴う「自己責任」論の高まりであり、後者として主に念頭に置かれているのは日の丸、君が代問題や靖国参拝問題である。

人によっては、こうした著者の主張は「左翼的」なものに思えるかもしれないが、著者の主張の土台にあるのは社会契約論、立憲主義といった「近代知」の本流そのものである。もし著者が左翼ならばアメリカやフランスやイギリスやドイツは軒並み左翼国家になってしまう。他方中国や北朝鮮は全然左翼でないということになるだろう。

ただし、著者の経済的問題に対するスタンスがやや福祉国家に傾斜したものであるというのは事実で、時折見える著者の「反グローバリズム」的立場には、(とりわけ経済学を学んだことのある人の場合)異論を持つ人も多いだろう。

全体に非常に読みやすく書かれているので、これまで憲法を全く学んだことのない人でもストレスなく理解することができる。他方、単なる憲法の入門書ではないので、既に法学部などで憲法をある程度学んだ人が読んでも得るところは大きい。とりわけ、比較憲法の専門家である著者が挙げる豊富な諸外国の事例は、我が国の憲法を広い視野から見ることを可能にしてくれるだろう。なお、口述筆記のため、体系だった記述にはなっておらず、具体的事例に触れる中で、重要な論点を繰り返し提示するスタイルになっている。

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18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
国家を作ったのは人である。人なしには国家は成り立たない。それでは全て個人の責任によって行動すればいいのかといえばそうもいえない。かといって国家がすべて対応してくれるのかといえばそうでもない。

それでは国家という想定をいかにして意識すればよいのか。筆者は立憲主義を柱として国家をあぶりだしていく。

現在の時事問題とはいかなるものなのか。そしてそれらにおける個人と国家はどのような関係を持っているのか。そこにある立憲主義とはなんなのか。日本人と国家の歴史を踏まえて筆が進む。

民主主義と立憲主義の違い、そしてそもそもそれらの間に共通する概念の人権とはなんなのか。全ては当然としてあるものではなく、作り出された概念である。それならばそれを一度は疑わなければその価値は確かめられない。民主主義なら良いのではない、そこに憲法があれば良いのではない、そのような絶対的なものがあるわけではない。立憲主義とはなんなのかを理解して初めて個人と国家の問題に向き合える。そんな一冊。

このレビューは参考になりましたか?
38 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
最近、右よりの人とこんな議論をした。今の政府は、福祉から、教育まで、「自己責任」の美名のもと、その責任を個人に押し付け、その割には、おかしな愛国主義を表に出したり、憲法に国民の義務を盛り込もうとするなど、現今日本は戦後最悪の無責任国家になりつつあり、そんな国に忠誠を誓うことは出来ないと、私は言ったのだが、彼は「おまえの愛国はカルイ」と反論するのである。私が、「ではオモイ愛国とは何か」と問うと、愛国は世俗的なことを超越した概念で、国のためには死ぬことも出来るのが真の愛国であると、彼は言うのだ。私から言わせればそれは、戦前の滅私奉公で、戦後の立憲主義はそのような超越的概念としての国家を否定したところに出発した筈であり、日本国憲法は、それを体言したものだ。現今改憲を支持する政治家・論客は、こぞって戦前の滅私奉公に逆戻りしたがっているように見えるが、それは国家の体力が衰えつつある証拠なのである、という著者の観察は全く持って正しい。「個人の尊厳」「生命尊重」を軽視したり、冷笑したりするシニシズムは、保守的論客や政治家に特に顕著だが、今の日本は憲法や国家の理念、敗戦の意味を十分に議論することなく、改憲の方向に流されている、という著者の指摘はもっともである。この流れを変えるのは今からでも遅くない、ということを再確認できた一冊である。
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