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人によっては、こうした著者の主張は「左翼的」なものに思えるかもしれないが、著者の主張の土台にあるのは社会契約論、立憲主義といった「近代知」の本流そのものである。もし著者が左翼ならばアメリカやフランスやイギリスやドイツは軒並み左翼国家になってしまう。他方中国や北朝鮮は全然左翼でないということになるだろう。
ただし、著者の経済的問題に対するスタンスがやや福祉国家に傾斜したものであるというのは事実で、時折見える著者の「反グローバリズム」的立場には、(とりわけ経済学を学んだことのある人の場合)異論を持つ人も多いだろう。
全体に非常に読みやすく書かれているので、これまで憲法を全く学んだことのない人でもストレスなく理解することができる。他方、単なる憲法の入門書ではないので、既に法学部などで憲法をある程度学んだ人が読んでも得るところは大きい。とりわけ、比較憲法の専門家である著者が挙げる豊富な諸外国の事例は、我が国の憲法を広い視野から見ることを可能にしてくれるだろう。なお、口述筆記のため、体系だった記述にはなっておらず、具体的事例に触れる中で、重要な論点を繰り返し提示するスタイルになっている。
それでは国家という想定をいかにして意識すればよいのか。筆者は立憲主義を柱として国家をあぶりだしていく。
現在の時事問題とはいかなるものなのか。そしてそれらにおける個人と国家はどのような関係を持っているのか。そこにある立憲主義とはなんなのか。日本人と国家の歴史を踏まえて筆が進む。
民主主義と立憲主義の違い、そしてそもそもそれらの間に共通する概念の人権とはなんなのか。全ては当然としてあるものではなく、作り出された概念である。それならばそれを一度は疑わなければその価値は確かめられない。民主主義なら良いのではない、そこに憲法があれば良いのではない、そのような絶対的なものがあるわけではない。立憲主義とはなんなのかを理解して初めて個人と国家の問題に向き合える。そんな一冊。
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