岡林信康が1971年に発表した3作目。今回の再発で初めて聴きましたが、これまで聴かなかったことが悔やまれるほど充実した内容で、3作品の中では最も良かったです。
バックは柳田ヒロ、高中正義、鈴木慶一などです。はっぴいえんどがバックを担当、泥臭いロック・アルバムであった前作品に比べて、全体的にバックがタイトな演奏になってます。シャープなピアノやギターのためか前作品より洗練された印象で、またファンクの影響も感じさせます。
歌詞としては、政治的なものを離れ人間・文明・愛などを歌ったものが増えています。これまでのように個人の思想・苦悩を直截的な言葉で綴るといった内容でなく、時に婉曲的な表現であったり、寓話的であったり、聴き手との距離を感じさせる内容になっています。歌い方もこれまで通りであったり、ひと癖あるふてぶてしい歌い方であったりと使い分けています。デビュー作から続けて聴いてみると、こうした変化はあくまでも個人の変化に正直な、単に等身大の歌を作り続けた結果、といった印象です。
なお、クレジットされていませんが、最後の「申し訳ないが気分がいい」が終わったしばらく後に入っているのは「岡林信康に捧げる唄」というタイトルだそうです。突然思いつきで録音したということです。
また、この商品はしっかりした作りのダブル・ジャケットです。今回の紙ジャケで復刻された3作品は全部買いましたが、どれも満足のいく仕上がりでした。