この本は、「ロックの入門書のようなものだが、ロックほど勉強がふさわしくないものもなく、ロックなんて、所詮リズム」であり、「まず、大御所のことから書こうとしたが、ローリング・ストーンズかビートルズと言っても、後者はロックではなくて”ポップス”」、のっけからそう断言している。
独断、こだわり。 すなわち、著者自身が、しっかり”ロック”を語るにふさわしいスタイルでロックを語っている。 平易な”入門書”では決してない。 むしろマニア向けかも。 そういえば、かつて”こだわり”を捨てて、”迎合”することで幅広い読者層の支持を受け、生き残った音楽雑誌があった。 確かにその誌名に”ロック”の文字はない。
それでも、ブルースロックに始まり、グラム、アメリカン、ジャズ、ブリティッシュ、ハード、プログレッシブと、時代を追ってそれぞれの推薦盤が紹介される。 ここでも、あくまで花村流であり、そこらの「ロック100選」とは趣を異にする。例えばブルースロックの最初はアル・クーパーの「スーパー・セッション」であり、続くのはフリートウッド・マックの「イングリッシュ・ローズ」である。 次いでグラムロックのアリス・クーパー、「スクールズ・アウト」にデビット・ボウイの「ジギー・スターダスト」と進む。
そして、「カーステレオに自分で焼いたT・レックスのベストCDをぶち込み、”げりろーん(Get It On)”と唱和しつつ、本に書けないような超越的速度で中央道を駆け抜ける」話でニヤついてしまう、子供な、ロックなアナタ。 この本はアナタのためにある。