新日本、UWFがプロレスならば、マッスルもまた、紛れもないプロレスだと思うが、その発想は既存の考えでは出るものではなく、それに言及しているのではないかと本書を手に取ったのだが、果たして本書は、著者の自伝でもあり、DDTという団体の歴史を綴った本でもあり、男色ディーノ氏・飯伏氏・マッスルが飛び出せる、今迄のプロレス団体にはない柔軟な発想が詰まった期待を裏切らない本であった。
映像・アングル・試合を上手く絡ませて観客を飽きさせず、その輪を他団体にまで広げているのは、DDT以外にはなかろう。
観客の頭の柔らかさを試されている面や、DDTによる学プロ起用の成功でインディ団体の幅が広がり、プロと真似事の境目が曖昧になるなど、見せるべきでない者がレスラーを名乗ってしまうようになった罪もあろうが、観客の嗜好は細分化しており、ガチガチのプロレスの対局に位置するそれらもありかも知れぬ(断っておくが、DDTは、それらとは一線を画す。 プロレスの技術は一定レベル以上あり、だからこそメジャー団体に起用される選手が何人もいるし、一流レスラーも参戦する)。
次々に生み出されるアイディアが、邂逅や僥倖による結果とか書かれている(著者がそれらを引き寄せる努力をし続けた結果なのだが)が、それをどう膨らませるかについては企業秘密であり、明らかにされなかったのは当然とは言え、少し不満である。