世間とどこか隔絶した生き方をしている女の子を描いてきたタナダユキの最新作は、SEXのことで頭がいっぱいの高校生たちの童貞喪失物語だ。さそうあきらの原作漫画がそうなのか、男が草食動物化しているせいなのかはわからないが、「やりてぇー、やりてぇー」と叫んでる割には、頭でっかちの高校生たち(柄本時生、遠藤雄弥、草野イニ)からイカ臭さがまったく漂ってこないのはどういうわけだろう。
その情けない男連中に比べ、女の子たち(美輪子、安藤サクラ、水崎綾女)のたくましさはまさに肉食動物なみ。大人と子供ほどの差がある女子と男子の精神年齢格差を描いたシークエンスにはそれなりのリアリティを感じるものの、コメディ映画らしく腹を抱えてバカ笑いできるシーンがほとんどないというのは致命的である。男の子たちの薄っぺらな性欲を笑いにまで昇華させる技術に欠けていたという他ないのである。
どちらかという陰気な女の子の内面を繊細に描いた『赤い文化住宅の初子』や『百万円と苦虫女』などに比べると、タナダユキがあきらかに演出に戸惑った形跡が散見されるのである。タナダ自身が脚本を担当していないことを鑑みるに、おそらく本作品は制作側からおしつけられたプログラムピクチャーであろうと思いきや、タナダ本人の熱望により映画化にこぎつけた作品だそうな。しかし、男の子を主人公にしたしかも他人が書いた本を映画化するのは本人いわく多分に実験的な試みであったらしく,成功してるとはいいがたい。撮影日数がたったの13日じゃねぇ。新進女流監督にとって超低予算のハードルはあまりにも高かったということか。