他のレビューを書いた方はみなさん「KILL BILL」でこの映画の存在を知られたとか。もう30年以上前ですから無理もありませんが、私は20代でこの映画をリアルタイムで見ました。60年代から70年代まで、ヤクザ映画全盛で数々の名作がありましたが、今は亡き藤田敏八が監督したこの映画も忘れることができません。確かに「暗い」内容の物語ですが、当時のヤクザ映画はみなそうでした。ある種の様式美とリアリティをもったアクション映画は日本映画の世界です。タランティーノというじつにユニークな映画好きがいたおかげで、「KILL BILL」が生まれたわけですが、彼が大好きな「修羅雪姫」へのオマージュとしてつくられた「KILL BILL」のいろんなシーンにこれはあれ、あれはこれといったふうにすぐ分かり多いに楽しめました。リアルタイムであるにしろ、ないにしろ、両方見てみるのも一興かと思います。映画は明治の富国強兵の時代を背景にしながら侍の時代が終わり、日本が近代国家へと変わっていくなかでのさまざまな問題などともからみながら物語が展開されますが、なんといっても梶芽衣子の表情、全体の雰囲気が素晴らしかった。近年は「鬼平犯科帳」ぐらいでしかお目にかかれなかったのですが、復讐心に溢れた冷徹な美しさの梶芽衣子は絶品です。続編はちょっと無理がありますが、日本映画にあって不朽の作品だと思います。