出場選手自身が語る内容は貴重だしとてもスリリング。
又、選手にとっては「自分を重用してくれるのがいい監督」であろう事を差し引いても、
歴代の監督評や、W杯での手応え、日本サッカーの課題など、
普段多くを語らない経験豊富で冷静な遠藤選手が語る内容はかなり興味深く面白かった。
ただガンバを長く見ている人にとっては、本書の遠藤をすんなり丸呑みできるだろうか?
ガンバの中でも、ファンに「遠藤がブログなんか書くはずがない」と思われている飄々とした選手、
自分から発信はしないが聞かれればフツーに答えるよ、といったところがせいぜいだろう(笑)
私には「本人がすべてを熱く語った風」のキャラクターは違和感が残った。
日々Jリーグを見ている多くのサッカーファンはマスコミを基本的に信じていない。
スポーツ紙に代表される「嘘を書くのが仕事」の悪質な記者とは異なるが、
本書の構成者、佐藤俊氏は私の知る限り、代表クラスの選手の“著作”を多く手がけ、
選手からも出版社からも嫌われないであろう仕事をする、
ドラマティックで口当たりよく、選手を格好良くスマートに仕上げてみせるライターだ。
インタビューを本人著書として構成しなおしたであろう本書は、
遠藤選手本人が実際はどう語ったのかのニュアンスが当然ながらまったく見えない。
文字にしたら同じ答えだとしても、一つのテーマについて
聞かれたから笑いながら軽く答えたのか、溢れるように本人から話が出て来たのかで
その意味は大違いである。
内容がとても面白く貴重なものだけに、その手法が非常に残念。
どうせなら、誰も信じていない「本人著」なんて古典的なごまかしは捨てて、
堂々とインタビュー形式にして欲しかった。
インタビューで選手の本音を巧みに引き出すプロライターが正直に書いた本なら喜んで買う。
色々語ってくれたであろう遠藤選手に感謝をこめて☆5つ、
“サトシュン”フィルターを疑って没頭できない手法で出版社に減点1。
出版社にはぜひ再考を願いたい。