宗教に代表される中世的権威をとことん破壊し、近代日本社会の基盤をつくったのは織田信長である。
信長なかりせば、近代日本の歴史はよほど違っていたものになっていたことは間違いない。
作家の塩野七生氏も「信長が日本に政教分離を確立した」と高く評価しておられるが、
信長が「第六天魔王」と罵詈讒謗を受けながら強行した一連の「対宗教戦争」によって、
日本では政治権力が宗教に優越することが確定した。
実に西欧における政教分離原則の確立に先立つこと200年である。
その日本史上に輝く巨星が、権勢の絶頂において、部下の頭を張り倒したことくらいで殺されるものだろうか?
本能寺の変の「光秀怨恨説」には、昔から胡散臭いものがあった。
本書は、信長がなぜ失墜しなければならなかったかを、最新の歴史研究の成果も踏まえ、あますところなく描いている。
本書の説が歴史の真実であるかどうかは、わからない。
だが、十二分に説得的であり、何より小説として抜群に面白いのだ!!