傑出の経営者、京セラの稲盛和夫氏の哲学と、経済学者でもある著者との、混迷する日本へ向けてのシンクロ・メッセージである。
とても読みやすいことに驚く。啓蒙書独特の、「高所から見下げたり」の尊大さ、批判性が一切なく、スッと通る。特筆すべき謙虚さと
玲瓏さに驚くが、それも稲盛イズムの発露と実践でもあるのだろう。
逆に、平易だからこそズシンと響いてくる。そして、考えさせられる。虎穴に入らずんば虎子を得ず、の例えの如き、「学ばなければ
得られなき目標」を定め、そこから無事帰還できた者だけが胚胎しうる重みを厳かに感じた。
『会社とは夢の共同体』、『一生懸命な思い』、『仕事の輝かせかた』、『平等があくまで基本』等、ベーシックだからこその正統性は、
もう一度見直すべき、向き合うべき、永遠の課題の存在に気付かせてくれた。同時に、本書で語られる資本主義や会社の本質に
触れることで、希望が見えてきた。だから、経営者やビジネスマンのみならず、主婦や、とくに就職を控えた学生さんには強くおすすめしたい。