現代の日本人の生活から消えつつある、日本の手工芸品に目をつけ、素敵に紹介し、きちんと丁寧に作られたものを長く使いこんで自分のものにしてゆく素晴らしさが伝わってくる本です。著者が取り上げると欲しくなるファンは多いので(私も含め)、問い合わせがたくさん来て、たくさん売れて、地元の手工芸が再活性化するのに一役買っていることは間違いないでしょう。
でも、気になったこともあります。すべての品が「○○の」と銘打たれていること。
この本に載っている方々以外にも手工芸品を作っている人はたくさんいるはず。作り手にとっても、使い手にとっても、手工芸品はもともとはもっと生活に根差したものであったはず。なのに著者が明文化した途端、「この○○のものでなくては」という観念にとらわれてしまうのです。もちろん著者なりの目で、納得のいく作りのものを厳選して紹介した結果なのでしょうけれど読み終わった後、「日本の道具を生活に取り入れて、丁寧に使っていこう」という思いの前に、「この人のこれが欲しい!」と思ってしまう。特に既に亡くなられた方のカゴを著者が買い漁っている(失礼)様は、「この人の品は本にしないほうがよかったんじゃないの???」と読後の違和感をぬぐいきれませんでした。作家と商品の紹介にとどまらず、手工芸品を生活に取り入れて使う楽しさを伊藤さんのスタイリングでもっと見せて欲しかったなぁと思います。想定なとは美しく、読み応えのあるいい本だとは思います。