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信さん (小学館文庫)
 
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信さん (小学館文庫) [文庫]

辻内 智貴
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

郷里・福岡の炭鉱町。数十年前、小学生だった私のそばには、いつも町いちばんの“頼れる悪童”信さんがいた――。太宰治賞作家が贈る、全世代対応、どこまでも透明な色彩で描かれた、ある名もない魂の物語。
  その男、信さんは、小学生時代、2年先輩で、町で知らないものはいない悪ガキだった。そんなある日、私はいじめられている現場で信さんに助けてもらう。私の母は、誰もが恐れる信さんに丁寧にお礼をいった。信さんは泣き出してしまった。彼の父親は早くに他界し、叔父夫婦の養子になっていた。しかし、それからすぐに叔父夫婦には待望の娘が生まれ、信さんはいわば厄介者のような扱いを受けていた。私の母を慕う信さんは次第に本来の明るさを取り戻していった。しかしやがて叔父が早逝し、代わりに一家を支えるため、最愛の義妹を憧れの高校に行かせるため、信さんは上京を決意した。そして、3年が経ち、“その日”はやってきた――。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

福岡・飯塚の炭坑町。私の小学生時代、町で知らないものはいないひとりの悪童がいた。その少年、信さんは、内向的で漫画を読むことが唯一の楽しみだった私を、ある日、いじめから助けてくれた。直後、その場を偶然通りかかった私の母は、誰もが恐れる信さんに微笑みかけた。その日から、信さんと私はいつも一緒だった。昆虫の群れる樹木の在りかから、鉄人28号の似顔絵まで、信さんは様々なことを教えてくれる遊びの天才でもあった。しかし、そんな日々も長くは続かなかった―。人生という名の野っ原を全力で駈けた少年が、いた。心に青く沁みる、名もなき魂の物語。

登録情報

  • 文庫: 142ページ
  • 出版社: 小学館 (2007/08)
  • ISBN-10: 4094081933
  • ISBN-13: 978-4094081930
  • 発売日: 2007/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
あっという間に読めてしまいました。
表題作は、なんと1時間程度!一言で言って読みやすいです。なのに浅くない!
「都会で暮らす主人公が、故郷で少年時代を思い出している」という設定のせいか、どこか懐かしいような、せつないような、ほろ苦さ・・・。
号泣というより、一筋涙が落ちるような物語。

誰もが心に持つ「ふるさと」や「少年時代」のイメージを(あくまでも、イメージで実際のものではないかもしれません)文章にした感じです。
忘れてしまっっている何か大事なものを教えてくれる一冊だと思います。(ちなみに私は、主人公の母親のようでありたいと、男の子をもつ身で切に思いました。)
ぜひ読んでみてください。

このレビューは参考になりましたか?
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本|Amazonが確認した購入
 偶然に聞いたNHKラジオ第1放送で毎週日曜日の深夜10時15分から放送される短編の朗読番組「文芸館」で朝鮮人の子をいじめる物悲しい話が紹介された。

 聴くやいなや、流麗な筆致に陶酔してしまい、うっかり題名を聴き忘れてしまった。原作を読みたくなり、翌日、NHKに出典を問い合わせると『信さん』に採録されている一遍の『遥い町』であった。

 『遥い町』は福岡の炭鉱の町に貧しい朝鮮人の母と息子が偏見と差別に耐えながら、ひっそりと暮らしていた親子の物語だ。少年の名はヨン君と呼ばれていた。回りの少年たちから、いくどとなく殴るけるの理不尽な暴行を受けていた。

 いじめがひとつの「遊び」にすらなっていた。それでも彼は涙をするだけで、決して抵抗しなかった。それは日本社会で暮らす彼らの知恵であったのだ。その彼と「私」との間に友情が芽生える。やがて、炭鉱の街から大阪へ引っ越す夕方、彼は、、、、。

 それらの屈辱に耐えていた在日韓国・朝鮮人2世、3世の彼らは幸せな家庭を持って日本に暮らしているのであろうか、または彼らの祖国へ帰って、立派な地位について活躍しているのであろうか。
 30数年前には頻繁にあった出来事であって、韓流ブーム時代の今では考えも及ばないであろう。  

 『信さん』は、父親の死と母親と離別した男の子の「信さん」が父親の兄夫婦に引き取られ、ほどなく夫婦の間に娘が生まれ、それが主人公の生き様に影を落とす話である。兄夫婦に疎まれて、札付きの不良になった彼が、「私」の「母」のたったひと言で立ち直り、その母に思慕の念を抱く。やがて私と彼との間に親愛の情が生まれる。そうして大人に成長した彼は、ひた向きに生きるのだが、、、。 

 著者の弱い立場の人間への優しい眼差しには敬服する。両作品とも一読すれば、小さな自分の悩みや苦しみなどは吹き飛び、元気が湧いてくる一冊だ。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
人生の優しさ 2010/10/27
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
信さんの様な人が私の少年時代にもいたので、その頃を思い出しながら一気に読み通しました。
この小説自体が非常に短く、しかも作者は読みやすい文体で表現してくれています。
それだけに、この継父母に育てられており、実子である妹と差を付けられて、「余計者」として育っている信さんの強さ・優しさが良く伝わってきます。そして、彼のマモルの母親に対する思慕も良く理解出来ます。
それだけに彼の人生を応援したくなるような気分になるのですが、彼は短い生涯を閉じます。
この作品で最も気にいったのは、ラストシーンです。
遺品として残された絵に描かれていたのは・・・。
この作品を読んでいると、自分たちの子ども時代が蘇り、過ぎてきた人生の良いところだけが思い出されます。それだけ、この作品は人生の優しさに溢れているのだともいます。
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