この本は西部邁先生、佐伯啓思先生、西田昌司参議員らによる鼎談を主として
自民党結党から自民党が政権から転落した2009年までの自民党政治の総括、および
自民党の誤謬と自立心の無さ、保守政党の旗を掲げながら
保守とはかけ離れてしまった今の自民党を断罪している。
評価として星4つにするか3つにするか悩んだのだが、星4つという評価をさせていただく。
理由としては、経済税制面においての胆略的な消費税増税、企業の法人税減税論には
個人的には反対である。
日本の法人税は今現在、税制面の免除による特別な優遇処置や税金の控除がされており
かなり優遇されているという事。
実際は実効税率40%であるが実質は企業平均でいくと30%と世界の先進国とさほど変わらず、
一番の問題点は日本政府の税収収入全体の企業の納める法人税収入が全体の中で著しく
日本以外の先進国と比べて低いという点である。
この様な状態で消費税を増税しても日本経済は良くなることは無く
一層経済全体のパイが縮小するだけである。
(バブルのはじける原因となった消費税導入時の竹下内閣や消費税を5%に引き上げた橋本内閣の時の状況を見れば明らか。)
個人的にはアメリカのクリントン政権が行った累進課税の強化、高所得者に対しての徹底的な増税、
そして予算をつけるにしても国益に適う事業業種への集中的な投資という
再分配を行い国家の基礎体力を高める事から始めなければ消費税の増税は無理だろう。
最後の章に「自由民主党への建白書(要項)」を自民党議員に配ったらしいのだが
まったく無反応であり結局は打てども響かずという点で西部先生が思うほど
期待のできない政党であることで、自民党とそれを応援ないし支持しているであろうコアな保守層との
ギャップが改めて確認されたという事。
西部先生自身は自民党に対して何らかのシンパシーがあるわけではなく、
今まで政権運営をしてきた政権党としての歴史や蓄積された経験、誤謬や矛盾を孕みながらも
それでも戦後日本に対してビジョンを指示し、国家を維持してきたという点を指して
民主党よりも自民党の方がましなのだという考えだという事が解かる。
このかすかな望みを込めた西部先生の建白書であるが、消費税増税と法人税の減税の行以外では自分もほぼ賛成の立場であり、保守とはなんぞや、という点においても明快に書かれている。
保守思想とは近代国家主義即ち民主主義を懐疑することであり
歴史と伝統、習慣に立脚した思想であるという事を明確に示している一冊である。