登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
思考の散文,
By カスタマー
レビュー対象商品: 俘虜記 (新潮文庫) (文庫)
作者がミンドロ島に駆り出され、一夜山中を彷徨し、捉まるまでを描いた私記である。眼前に現れた米兵を見ながら撃たず、「私はなぜ殺さないか」という声を引き金に、一挙に思想が静かに爆発する。米兵の生殺与奪の権をにぎった主人公である作者はなぜ殺さないか、なぜ殺すかを考える。『罪と罰』よりも端的に、ストレートに、「殺人」を思考しているといえる。日本文学には皆無といっていい「生存と殺人」をテーマにした稀有な名作。横光利一賞を受賞した、いわゆる戦争小説とは根本的にことなる作品。
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
私にとっては小説でなくノンフィクション,
By
レビュー対象商品: 俘虜記 (新潮文庫) (文庫)
私はこの作品をノンフィクションと思い込んで読み始め、カバーに記されている解説により、読み終えた後になって初めて、著者の従軍体験に基づく連作小説であると言うことを知ったのである。しかし、今でも私にとってはノンフィクションであり、どこが虚構に当たるのか、全くわからない。少なくともこの作品を小説とするなら、ジャーナリストの書いた記事でも小説に分類されてしまうものが多々存在することになると思う。部隊から外れ一人戦場を彷徨っていた著者が、林のへりに倒れ込んでいた時に米兵が現れる。米兵は著者に気付かないのだが、著者は銃の安全装置を外すも結局射たないのである。この「なぜ射たなかったか」についての省察に数ページ費やされていることが、唯一のノンフィクションらしからぬ箇所であろうか。 タイトルから察せられるように、書かれていることの大部分は俘虜収容所内のことである。そして「阿諛」と言う言葉が何度も出てくるが、これが日本人の集団秩序の維持に重要な役割を果たしていることもわかる。戦場と言う極限状況下、収容所内で新たな秩序が形成されていく過程、米兵との対比などを通して、日本人と言うものを見つめ直すことの出来る好著である。
23 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
西洋のヒューマニズム?『アーロン収容所』と読み比べてほしい,
By
レビュー対象商品: 俘虜記 (新潮文庫) (文庫)
作者の大岡昇平は京大仏文科卒でスタンダールの研究家でもある。その彼が捕虜になって西洋のヒューマニズムを自分自身で認識したという大きなインパクトがこの作品の最重要項目。敵の捕虜を自分たちと同じ扱いをするという、この作品中の出来事を、京大西洋史の卒業生にしてルネッサンス史の研究者でもある会田雄次の捕虜体験記『アーロン収容所』と読み比べてほしい。そこには西洋のヒューマニズムの限界が、衝撃的な事実でもって描かれているから。アメリカ人とイギリス人と、国は違っているが、敵国の捕虜に対してかくも異なった態度が取れるものか。個人的な違いか、状況の違いか、それとも没落に向かう国と繁栄が約束された国の違いか。二つを読み比べて考えてほしい。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|