副題の「日本製造業の生きる道」に関心を持って購入した。
この本のキーワードは「価値づくり」であり、付加価値をつけることが生きていく方向性であり、「ものづくり」と「価値づくり」を分けて考える重要性が述べられている。
これを筆者は独自の概念であることを強調しているが、これまで多くの書籍、論文で述べられてきた視点と変わりは無い。しかし今一度利益を獲得するための視点を確認するのには役立つと思う。
この本の良い点として、対象が大手完成品メーカーだけでなく、それを支える中小企業、部品メーカーの視点でも考え方の切り口を明示していることは大きく評価したい(第6章など)。他の同類の本はほとんどが大手企業や完成品しか対象としていないのに対して、中小企業も応援する著者の心意気が伝わってくる。
弱点としては、高圧的に感じてしまう論調。たとえば大手家電メーカーの例では優秀な学生を多く獲得していながら、利益も出せず税金も払わず社会貢献をしていないことを指摘する。その原因がものづくりと価値づくりの違いをいまだに理解していない、とするが、これはあきらかに飛躍しすぎ。大手企業も気づいているのですよ。昨今の企業情報を見ればそのための新しい動きをしていることはつかめます。
あと、製品アーキテクチャー論などの東京大学ものづくりセンター系の論文に目を通したことのある読者であれば、新鮮さは無いと思います。
以上の、よい点とよくない点を考慮して、星三つです。