先行作では脇役だったウサコが語り手をつとめ、
タックの母親問題が描かれるシリーズ第五長編。
タックがタカチに痛ましい身の上話をしている所に、たまたまウサコが居合わせてしまう
「ホームカミング」というパート、そして、その場面に至るまでの経緯や本シリーズ特有
のディスカッションによる推理の試行錯誤が描かれる回想のパートが交互に展開されて
いく、カットバックの構成が採られています。
ディスカッションのお題は、オートロックのマンションの出入り口に挟まれている
小石、ボアン先輩が小学生の頃に見た幽霊、隣家の敷地で飼い犬を放置する
未亡人、誘拐した子どもにぬいぐるみを与え、すぐに解放する誘拐犯……etc.
どのお題も、最初は軽いノリで議論がスタートするのですが、次第に白熱し、結末では、
予想もしなかった結論が導き出されます。そして、それらがのちに伏線として機能して
いくこととなるのです。
ところで、本作では、
前作のタカチの父子関係に引き続き、タックの母子関係に
焦点が当てられるわけですが、それ以外にも同級生のストーカー事件が扱われ、
タイトル通り、人間関係における「依存」のあり様が、執拗に描かれていきます。
そうした、あまりに生臭いストーリー展開や、ウサコのいささか生硬で、
教条的なフェミニズム的視点に違和感を覚える向きもあることでしょう。
ただ個人的には、このようなミステリの枠にとどまらない大河物語的展開は非常に興味
深く、シリーズが完結する際にどのような着地を見せてくれるのか、今から楽しみですね。