いつのまにか依存症のエキスパートになってしまった衿野である。
あまり手をつけられていなかった分野を探し当て、いちはやくツバをつけた点では、先見の明があったといえる。
三浦展と同じく「世相」なり「傾向」なりから、「今、こういうタイプが増えている」というネタの書き手であるが、三浦の場合はデータを駆使した「社会要因の分析」に行くのに対し、衿野はあくまでもサンプルの惨状をえぐり出す、という点が売りである。そのへんがやはり女性なのか、といったら斎藤美奈子に怒られそうだが。
その結果として、ひらたく言ってしまうと、女性週刊誌の悲惨ネタに多少の洗練を加えたもの、というのがいつもの衿野の本である。
「暴れる系の女たち」というタイトルを目にしただけで、「ああ、またやってるな」と思ってしまったのは私だけだろうか。
衿野によって、依存や異常行動がある程度メジャーになったことにより、依存の世界は第2段階に移行するのではないか、というのが私の読みである。
それは、「多重人格」の際にも見られたように、自ら「依存自慢」に走る人が増えるのではないか、ということだ。メジャーになると、必ずそういうことになる。
「やめたいのにやめられなくて隠す」という段階から、「一晩で冷蔵庫の中身を食べた」とか、「会社の昼休みに隠れて酒瓶をラッパ飲み」とか「ブランドもの欲しさに風俗のアルバイト」とかいうのを競ってしまうのではないか。「ヤバい私」に注目して欲しいあまりに。