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供述によるとペレイラは…
 
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供述によるとペレイラは… [単行本]

アントニオ タブッキ , Antonio Tabucchi , 須賀 敦子
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

 ポルトガル、リスボンの暑い夏。スペインで市民戦争が激しさを加えている頃、この小さな隣国にもファシズムの影が忍びよっていた。小さな新聞社の文芸欄主任ペレイラは、そんな状況に胸を痛めながらリベラルな記事を掲載していたが、一人の無垢な青年との出会いが彼の運命を大きく変えてゆく。

内容(「BOOK」データベースより)

1938年夏、リスボン。ファシスト政権下、ひとりの新聞記者が、ある決意をかためた。鬼才タブッキが、困難な状況下において人間の生きる意味を根底から問いかけた完璧な小説。イタリア最高の文学賞ヴィアレッジョ賞受賞。

登録情報

  • 単行本: 193ページ
  • 出版社: 白水社 (1996/11)
  • ISBN-10: 4560046158
  • ISBN-13: 978-4560046159
  • 発売日: 1996/11
  • 商品の寸法: 19.6 x 14.6 x 3.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 613,749位 (本のベストセラーを見る)
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31 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By uno
形式:単行本
あのタブッキが珍しく人間の勇気や生きる意味をテーマに書いた小説である。いつものしんと染み渡ってくるような幻想性は影を潜めており、「インド夜想曲」や「レクイエム」の夢幻劇的な世界に魅せられた読者は最初は戸惑うかも知れない。ファシスト政権下における新聞記者の抵抗というモチーフも、それだけ見ればいかにも非タブッキ的だ。しかしながらタブッキ独特の瞑想性はやはりこの作品にも染み渡っており、亡くなった妻の写真と会話し、「魂の連合体」について思いを巡らすペレイラは決して自己完結型の正義漢などではなく、自分の内面を不器用に旅して行く巡礼であり、きわめてタブッキ的な登場人物である。まだ死んでいない文学者の追悼記事を書くというエピソードもこの作者らしいエスプリに満ちて!いるし、「きらきらしている」リスボンの描写はどことなく現実離れしていてとても美しい。地の文と溶け合っている会話も効果を発揮して、独特の浮遊感のうちにストーリーは展開する。ところがこの内面へのベクトルに満ちたタブッキ的世界がペレイラの「行動」という外界へのベクトルと出会うことによって、明らかにこれまでの作品とは異質のカタルシスが生まれる。クライマックスの警察と名乗る男達の侵入のシーンは、タブッキの冥想的な筆致にかかってこそ異様な迫力を持ち得ているし、またラストのペレイラの選択が一際感動的なのもこの小説の静謐さのためではないだろうか。またこの小説に仕掛けられた最大のトリックは小説=ペレイラの供述という枠組みにある(この枠組は最初の一行から読者に呈示される)たったこれだけのシンプルな仕掛けがこの完璧なエンディングを可能にし、作品全体の素晴らしい抑制を可能にしている。瞑想性と切実なテーマが見事な構成の内に調和した、まるで水晶を刻んで作ったような小説である。
このレビューは参考になりましたか?
28 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ecrits
形式:単行本
アントニオ・タブツキのその他の作品を支配するのは、幻想味の行き過ぎた、ある種の「軽さ」だと感じていた。小説として、陰影に欠けるというべきか。 しかし、この「供述によるとペレイラは・・・」は、これまでタブツキの作品を読んで味わった失望感を、一掃して余りある傑作だった。 殆どモノローグといっていい様な、或いは、主人公の主観の薄布を透かして見るような、静かで、内向的な語り口は、読者をたちまち物語の世界に引き込んでゆく。ファシズム、社会主義、スペイン市民戦争・・・異常で、緊張に満ちた時代を設定していながら、この小説の主題とするところは、そういったマクロな事ではなく、むしろ、ある個人の、魂の葛藤である。水面下で、彼のうちに徐々に頭をもたげる衝動と、それによって突如瓦解する物語の均衡。まさにカタルシス、素晴らしい小説だ。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
骨太 2011/8/13
By ayaco
形式:新書
タブッキというと、夢とも現実ともつかない、はざまをたゆたうような幻想性がとても印象深いし、そこが好きという人も多いと思う。

けれど、本書の文体は終始リアリスティック。そして、読み進むうちに、主人公ペレイラの心の動きと行動を通じて、タブッキの倫理観が、強く、はっきりと示されてゆくので、ぐっとくるものがある。とても骨太な印象。

一方で、本書は最初から最後まで、ペレイラの供述調書に基づく語りという形式が貫かれており、そのひとひねりある文章構造に、タブッキらしさを味わうこともできる。

また、こうした形式が、気をひくためだけの衒学的な遊戯にとどまるのではなく、この物語にはこの形式しかありえないと思わせるほどに、内容と不可分のものになっているところに、圧倒的な力量が感じられる著作でもある。
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