ラリー・コンスタンチンとルーシー・ロックウッドによる名著『
Software for use 』の日本語版です。
本書で提唱されている設計手法が「利用中心設計(Usage Cetered Design)」です。一般にユーザ中心設計(User Centered Design)がユーザ調査やユーザテストといった"ユーザとの対話"の技術に重点を置いているのに対して、利用中心設計は"モデリング"に重点を置いています。
ユーザ役割から始めて、ユースケースを経て、最終的にユーザインターフェイス設計に落とし込めます。ソフトウェア開発と相性が良い"UMLライク"な手法で、海外ではカレン・ホルツブラットの「Contextual design」と同じくらいよく知られています。
ただ、本書の発行は2005年ですが、原書が書かれたのは1999年です。"ドッグイヤー"と言われるITの世界では、もはや古典の部類に入るでしょう。今読むと、内容に古さを感じる箇所も少なくありません。また、500ページ近いボリュームがあって、全体的に記述がちょっと難解で冗長な傾向もあります。
それでも本書の中核部分が色あせることはありません。設計者の感性だけに頼らず、「論理的に(文字だけで)UIを設計する」という斬新な発想は、今後も様々な分野に応用されていくでしょう。
特にソフトウェアのユーザエクスペリエンスデザインを専門にする人には必読の書だと思います。