巷に溢れる作曲・アレンジの教則本は、度数やコード、スケールなどの解説はしていても、
それをどのように実際の作曲・アレンジに活かすか、というところまでは言及していないものが多いように思います。
その点本書は、メロディーの紡ぎ方、コードの乗せ方など、作曲・アレンジの実践的作法を、
理論的な観点から解説した、システマティックでありながら、極めて実用性の高い内容となっています。
メロディーのコードトーンの間にある非和声音を、解り易い比喩表現を用いたうえで1つ1つ解説するなど、
類書にないアプローチもみられますし、リハーモナイズの仕方なども非常に丁寧に段階的説明がなされています。
非常口というタイトル通り、作曲・アレンジに従事する人の即戦力となり得るでしょう。
実際に作曲・アレンジに取り組んでいて、かなり経験を積んでいる方にとっても、目から鱗な記述に溢れた良書です。
ただし、本書では、コード自体の説明等ポピュラー音楽理論の初歩の初歩は解説されていませんので、
CやAm7などの表記の意味が解らない、という段階の音楽理論初心者の方は、読み進めていくことが困難です。
コード理論に代表される音楽理論の基礎に不安がある方は、基本的な理論入門書などを読み終えてから、
本書に取り掛かることをお薦めします。
ポピュラー音楽に携わる全ての人にとって一読の価値がある内容ですので、是非一度お手に取ってその効果を体験してみて下さい。