著名人の身近にいた人が故人の思い出を語る、といった類の本は、語り手の思い入れが強くて読むのがしんどいことがあるのだけれど、この本には全くそれがなく、肩の凝らない読み物として楽しめた。武満夫人も聞き手の編集者も、淡々と語っていて、夫人が知らないでいたエピソードを聞き手のほうが披露したりもする。各ページの左側に詳細な注がついていて、多すぎる気もしたけれど、これは別に自分に必要な項目だけ参照すればいいことだろう。
それにしても、掲載されている写真で見る夫人の風貌が、武満徹に似ている。似た者夫婦、だったんだろうか?
私は武満徹が音楽の専門教育を受けていないことはこの本を読むまで全く知らなかった。世の中には特別な才能を授かっている人がいるものなのだろう。この夫人と出会ったことで、その才能が開花したのだろうと思った。でも2人の生活は奇人の壮絶な生活とは程遠く、落ち着いた自然な暮らしぶりだったと察せられた。