子供のころから作家となった今に至るまで、およそどんな本を面白いと思い、こんな本に影響を受けてきたと、作家自らがインタビューに答えて語るシリーズ本。収録された18人の作家のうち、特に「柳 広司」「有川 浩」「米澤穂信」「貴志祐介」の四人の読書ライフ、お気に入りの本が知りたくて、それで手にとって読みました。
本書で取り上げられている18人の作家は、次のとおり。目次から書き抜いておきます。
柳 広司・・・・今も作品の内に息づく読書と遊びのアホンダラ高校生ごころ
畠中 恵・・・・「しゃばけ」の原動力? 和・洋・ミステリー・SF・時代、“全部読み”!
道尾秀介・・・・読書デビューは遅めでも体の芯まで沁みた文章は忘れない
有川 浩・・・・ラヴ&ウォー! ライトノベル読書が駆使するクロスオーバー・テクニック
乙 一・・・・書き方を思い出し刺激を得るために小説を読む
米澤穂信・・・・楽しむ物語と楽しませるための物語
高野秀行・・・・「奇なるもの」の読書から未確認生物探索の旅立ちへ
宮田珠己・・・・旅行記は観光モノより私小説系が面白い
近藤史恵・・・・のめり込む好奇心が小説に力をそそぎ込む
宮本昌孝・・・・読者を納得させるあの手この手のエンターテインメント
小池真理子・・・・線を引きながら何度も読んだ本たちの「場所」
貴志祐介・・・・読みふけって、いつしか礎になっていた終末を描いたSF物語
阿部和重・・・・さまざまに視座を交差させる小説的な冒険を
モブ・ノリオ・・・・文学の面白さに気づかせてくれた作家に感謝!
坂木 司・・・・愛する小説のピンポイント 料理、ネズミ、SF、冒険&ダーク
中村 航・・・・本を読むことはその作者と出会うということ
中島京子・・・・読む時も、書く時も、ジャンルはあまり意識しない
豊島ミホ・・・・小説家になってから本当の小説の面白さを味わった
それぞれの読書ライフ、コメントに重なり合う部分があったりして、興味深かったです。例えば、海外小説の古典には、やっぱりそれだけの面白さがある、凄さがあるよねと、複数の作家が語っているところ。わが脳裏に、買ってはあるんだけどまだ読めていない『百年の孤独』『モンテ・クリスト伯』『デイヴィッド・コパフィールド』といった本がぱぱっと映し出されました。うーむ、いかんなあとか思って、埋もれていたのをさっき、引っ張り出してきたのですが、さて、今年は読めるかな(汗)。
<ドストエフスキーには打ちのめされました。『罪と罰』から入って『悪霊』を読んで、やはり『カラマーゾフの兄弟』は圧倒的でしたね。(両腕を大きく上下に広げて)ここからここまで書けるのか、と。地面の這いつくばっているところから、天上の高みまで書けるのか、と圧倒されました。>──柳 広司
<ある編集者の方が『百年の孤独』を挙げてくださったので読んだら面白くて。これは途方もないなー、と、これもまたこういうのもありなんだ、と思いました。宇宙がまるごと文章化されてつまっているような感じが好きでした。>──乙 一
<あとは、チャンドラーの『長いお別れ』を読んだらすごく面白くて、その他の作品も読んでいます。テリー・レノックスは意外に萌えキャラだなと思ったりしながら(笑)。>──近藤史恵
<はい、『パルムの僧院』とか。スタンダールは大変なストーリーテラーだと思いましたね。フランス文学なんて愛だの恋だの言っているだけだろうと思っていたら、ものすごくドラマ性が高かった。古典って読みつがれるだけあるなとも思いましたね。>──宮本昌孝
<(ディケンズの)『デイヴィッド・コパフィールド』はとにかく物語として面白かった。次にどうなるのか分からない中で、キャラクターの使い方が実にうまくて。(中略)物語の喜びを初めて味わうような気持ちでした。>──貴志祐介
あと、自分が子供の頃読んで、とても好きだった本の名前が挙がっているのは嬉しいものですね。坂木 司さんと中島京子さんが、C・S・ルイスの『ナルニア国ものがたり』のことを言ってらっしゃるんですよね。そこのところの文章だけ、スポットライトが当たって光っている気がして、「おっ! わが同志よ。ウラー!」なんて、声を上げたくなっちゃいました(笑)