内容紹介
『佛教藝術』は昭和23年(1948)に発刊された東洋美術における彫刻・絵画・建築から仏教考古学に至る学術論文を掲載する伝統ある研究誌です。編集の中心は佛教藝術學會で、委員は美術史・建築史・考古学など各斯界の権威、執筆陣も第一線の研究者です。
本号は300号の節目の特集として「円仁と仏教美術」をテーマに掲げ編集しました。
慈覚大師円仁は、仏教美術においても密教美術、法華経美術、浄土教美術の種子を蒔き、芽生えさせ、育て、そして大きく花を咲かせました。
昨年の平成19年(2007)が、円仁が比叡山に登り、最澄に師事し、修学を始めて1200年になるのを記念して、栃木県立博物館・東北歴史博物館・滋賀県立近代美術館で特別展『慈覚大師円仁とその名宝』が開催されました。それを機に、本号では円仁と仏教美術について、仏像や曼荼羅をはじめ建築や悉曇も含め、広い観点から論じた6編を収録しました。
「円仁と仏教美術――総論にかえて――」(有賀祥隆・東京芸術大学客員教授)
「円仁と悉曇」(馬渕和夫・筑波大学名誉教授)
「初期比叡山の建築に関する幾つかの課題」(藤井恵介・東京大学大学院工学系研究科、
准教授)
「二つの熾盛光曼荼羅図像(青蓮院蔵)と延暦寺蔵熾盛光曼荼羅図」(林温・慶應義塾大
学文学部教授)
「立石寺入定窟の慈覚大師頭部について」(伊東史朗・京都国立博物館名誉館員)
「円仁帰国後の延暦寺の造像について――現存作例の検討から――」(梨純次・滋賀県
立近代美術館学芸課長)