これは作者のエッセイであり個人史でもある。けっして腎臓病食のテキストではない。一読者として楽しく読み、そして一医師として反省させられた。腎臓病の患者さんたちに医師は合併する疾患も考えながら蛋白は~g, カリウムは〜mg以内などと指示し、それに合わせて栄養士さんに栄養指導をしてもらう。著者も医師・栄養士の指導のもとがで食事制限に取り組み始めるが、本書のなかで述べてるように、『具体的に食べているものの中にどの程度たんぱくが含まれているのか、「〜単位」のイメージがわかない』と述べている。腎臓病の患者さんたちみんなの実感だろう。著者はそれを不器用までに食べたものすべてを測定して自分にあった『適量』を見いだした。医師は制限する食物の種類や数値に関する指示は出せても、それを実行するのは患者さん自身なのである。もっともっと患者さんたちにわかりやすく実行可能な指導を心がけなければ、と反省する一方、著者の適量を見いだすまでの科学者のような緻密な検証に感嘆した。
腎臓病や糖尿病のある人たちが医師・栄養士の指導のもと“こうすれば腎臓病の患者さんでも制限をきちんと守ってかつ食を十分楽しめるんだ”という著者からの前向きなエールでもあろう。
と硬い感想はここまでとして、この本は腎臓病の患者さんだけでなく、一般読者にとっても楽しい本である。著者の独創的な料理のレシピや素敵なイラスト数々・・・。朝倉さんのイラストのファンなら必見である。さらに“今度はこの料理を作ってみよう!、盛りつけはこうすれば見た目にもきれいでおいしそうになるのね”と読むごとに想像が広がっていく。この秋ぜひぜひお勧めの一冊である。ということで星5つです。