国会議員の選挙戦を、立候補者の側から書いた本を読みたいと、かねてから思っていた。
学者や記者、ルポライターが選挙戦や、代議士の生活に密着した本は何冊か読んでいた。
しかし、当事者側から選挙戦について書いた本は少ない。いろいろなしがらみがあるし、
書けない話がたくさんあるだろうからだと予想していた。
そうした中で出た、待望の本で、しかも、面白さは期待以上だった。
特殊法人の仕事のいい加減さ、公務員の手当のずさんさを告発して、知名度をあげた著者が
いかにして立候補を決意し、選挙戦を準備し、戦い、どう総括したかがよくわかる。
そして、予想した通り、選挙ブローカー(しかも役立たず)が現れて金をくすねたりする。
しかし、私の予想したことで外れたこともあった。
著者は比例区だったこともあり、田舎の後援会長的な人物に手こずらされたり、
土下座するよう、大物の議員秘書に言われたり、というようなことはなかったのだ。
だが、思いもよらない苦難が、候補者である著者を待ち受ける。
「みんなの党」のアジェンダを出版化する話などは、読んでいて辛くなる。
まるで、奥田英郎の小説の主人公のように、著者は、先輩議員や、党の事務方に翻弄される。
しかしこれは小説でなく、現実である。読んでいて辛くなった。
さらに、供託金を党が払ってくれる、と信じていたのに、実際は…という顛末もつらい。
著者の偉いところは、多くの登場人物を実名で書いているところだ。
(ただし、選挙ブローカー氏は、元・県議選落選者であり、しかもその選挙でただ一人の落選者であったそうで、
実名は伏せられている。)
本当に政界というのは魔物がいるようだ。
この本を読んで、政治家を目指す人が減らないといいなと思う。
著者の意図は、当然だが、そんなところにはない。
本書のあとがきは、短い文章だが、即効性のある選挙の改革案である。