「彼が夢見たオーケストラでのデビュー演奏会は、大勝利となった。」(ターゲスシュピーゲル紙)
佐渡氏の子供の頃からの夢だったベルリン・フィルでの指揮者デビューを、地元紙は好意的に伝えました。
「大成功」であった事は、いつまでもスタンディング・オベーションが続いたというニュースからもわかりますが、「大勝利」です。
ベルリン・フィルは、言うまでもなく世界最高峰のオーケストラです。
しかし、よくも悪くも高いプライドを持つメンバーは、「どんな曲も、どんな指揮者が来ても、カラヤンが作ったように演奏してしまう」ようなところがあります。
佐渡氏は、そのメンバーたちに心を開かせ、彼の求める情熱的な演奏を見事に引き出しています。
録音については、もう少しクリアに録れていれば言う事なしですが、ライブとしては充分に「いい音」と言える音質です。9月にはBlu-rayも出るそうで、音はそちらの方がもっと期待できるでしょうか。
さて、佐渡氏お得意の「タコ5」ですが、「これがベルリン・フィルか?」と思うほど情熱的です。恩師バーンスタインほど強烈ではないですが、速めのテンポの4楽章冒頭など、彼の個性が出ています。
それでも、コントラバスの太い響きが、間違いなくベルリン・フィルである事を確認させてくれます。
トランペットは少々すかしています(笑)が、その他の金管は血管も切れよと吹きまくっている様子が伺えます。
ティンパニは途中明快でないところがあり個人的には好きではありませんが、最後は佐渡氏に立ち向かい、本気モードです。
「ベルリン・フィルを本気にさせた」大勝利と言われる所以でしょう。
武満作品は、初めて聴きました(申し訳ありません)が、打楽器奏者たちが楽しそうに演奏している様子が伝わってきます。
この邦人作品を取り上げてくれた事ひとつ取っても、日本人佐渡裕に、ベルリン・フィルが敬意を表しているのがわかります。
話題だけでなく、間違いなく今年の「名演」のひとつになるでしょう。
お勧めです。