内容紹介
最近70Wを越えるCMOSプロセッサが登場するに至って, 今まで低消費電力を売り物にしてきたCMOS技術といえども消費電力の危機に直面していることが明白になってきました。その他, バッテリー駆動の携帯機器への需要の増大などから低消費電力 LSI技術は「あれば好ましい」技術から, 「なくては将来はない」技術になりつつあります。 一方, 低消費電力LSIと言っても, 最近のLSIはクロック周波数数十KHzの電卓・時計のLSIとは異なり, 高速性を合わせ持たなくてはなりません。信号処理用途などが多いためです。 今回の「低消費電力, 高速LSI技術」という出版の企画は, このようなLSIをとりまく環境をふまえ, 各方面の第一人者にご依頼し, これからのLSIの基礎を支える低消費電力, 高速デバイス技術をまとめようという試みです。 今までも低消費電力技術を扱った出版物は散見されるものの, 全貌が見えるような形でまとまったものはありませんでした。そこで, アナログ, デジタル, メモリを含み, 回路とデバイス, プロセス技術をカバーした内容を, 実践にも役立つように掘り下げた形でまとめた出版物を作りたいというのがこの本の主旨です。 読者としては, プロセス, デバイス技術者, 回路設計者が中心でしょうが, 学生などの大学関係者やアプリケーションを考えるLSIのユーザも読者の範疇に入ってくるものと思っております。 「低消費電力, 高速LSI技術」は総合技術的な色彩が強いため, デバイス, プロセス関係の方が回路についての知識を増やしたいとか, 逆に回路の専門の方がプロセス技術に関しても理解したいといった要求があります。これらの要求を満たすため, 専門的な内容を技術分野を越えた方々にも分かるように解説して頂きたいと企画側から希望いたしました。難しい希望ではありますが, 図や表などを使って, 分かりやすいと同時に実践にも役立つ内容を目指しました。
出版社からのコメント
Lowpower LSIの議論はLSI設計の分野が中心となっており、デバイス・プロセス分野ではスケーリング則による効果として考えられてきた。本書はLSIの低消費電力化について、設計からデバイス開発までを一体と考えて、どのような試みがなされているかについて日米の第一線の専門家を集めてそれぞれの立場から出稿いただいた。本書発刊後はLSIの低消費電力化が大きく加速し、現在のMobile PCの長時間稼動を可能にしたが、まさしくその到来を早い段階から紹介していた。
掲載されている様々な試みは、現在ではLSI設計の初心者でも比較的読みやすい内容となっている。(2009年6月)